第16話 模擬戦1

14話に誤字を発見いたしましたので訂正いたしました。

仕様→使用


超久しぶりの投稿です。だ、だって他のを書いてたり読んだりしてたんだもん…!仕方ないよね!!…はい、反省します。

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話はユリウス達の方に戻って。


先生の提案もあり、ユリウスの実力を図るための模擬戦をすべくSクラス一同は修練場に来ていた。


「じゃあまずはユリウス対ラインハルトで剣術のみで勝負だ!どちらも木剣を使用、ハンデを埋めるためにラインハルトは身体強化を許可する!」


は?


「先生!身体強化だけですか!バフ、デバフによる支援も許可願います!」



「よし、許可する!」


え?


「よし!エイダ、頼む!」

「わ、分かった…」


エイダがラインハルトに手を翳してなにやら呟くとラインハルトの身体が淡く光った。それに加え、彼自身も身体強化魔法で速度と力を上げているのが分かった。


うん。おかしくない?


「先生?剣術のみじゃなかったんですか?」

「ああ!まあこのくらいはいいハンデだろ」


どこがだよ!


「先に相手に有効打を与えた方の勝ちとする!では―――開始!」

「はああああ!!」


唐突な先生の開始の合図とともにラインハルトが木剣を振りかぶって突っ込んでくる。

いろんなバフが乗ってすごい速度だ。ユリウスが剣を構える前にラインハルトは目前に迫っており、唐竹割りに振り下ろしてきていた。

誰の目にも数瞬後にはラインハルトの勝利が確定している状況。しかし―――



「まあ…これくらいなら…」



「ッ!」

「はい、一本」



次の瞬間、ユリウスの木剣が大きく体勢を崩したラインハルトの後頭部に静かに当てられていた。


「何…が…?」

「んー、ちょっとバフに頼り過ぎかな。自分の、相手より有利な部分を活用しようとするのはいいんだけどさ、それだけに頼るような戦い方は駄目だな」

「えっと‥何をしたの?」


ダクネがおずおずと訊いてくる。


「いや、なんてことはないよ。まっすぐに突っ込んできたから燕返しの要領で切っ先をずらしつつ体勢を崩してあげて、くるっと回って剣を当てただけだから」


そう。タイミングを合わせてラインハルトの剣の腹に剣を当てて方向をずらし、自身の身体を回転しつつちょっと後ろに押して体勢を崩させ、背後を取っただけの話。なんてことはない。

―――少なくともユリウスにとっては。当然みんなは絶句している。


「あれ?もしかして今のって有効打の判定になってない?強めに叩いたりしなきゃだめだった?」

「!!い、いや、ユリウスの勝ちだ!じゃあ次はミリア!頑張れ!」


ラインハルトが焦ったように降参を宣言する。

近くにいると頭を粉砕されるとでも思ったかのような逃げっぷりだ。


怪我をさせたわけでもないのに…とユリウスは思うが、その考えは実際には間違っている。

ラインハルトからすれば、ユリウスにのだ。

実力差のそこまでない相手同士で戦うとどうしても手加減ができなくなってしまい、決め手となる攻撃ではそこそこのダメージを負ってしまう。実際、身体強化魔法とバフで大幅に強化されたラインハルトはユリウスに斬りかかった。いくらハンデありとはいえ本気の決闘なのだからそうするのが礼儀だし、相手を怪我させないようにと手加減して負けるようでは目も当てられない。

少なくともこれが一般的な認識で、模擬戦で手加減をするというのは、教師が生徒に戦い方を教える場などでしかありえない。

つまり、圧倒的な実力差のある者が全力で舐めプをしても勝てると判断した場合のみ、なのだ。

大人と子供ぐらいの実力差のある相手、しかもその力の底の知れない相手が『次は有効打を与えようか』と言っているのだ。逃げるよ。普通は逃げるよ。


「じゃ、じゃあ次はミリア!出てこい!」

「はーい!」


ミリアがユリウスの前に元気よく出てくる。


「あれ?よくあのラインハルトの後でそんなに元気に出てこれるな」


さっき全力でラインハルトにビビられたユリウスが言うとミリアはその薄い胸を張って、


「だって怪我させられないって分かったもんね!全力で行くよ!」

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バカな天才が異世界に転生したら 枯渇信者 @shamad

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