第15話 自己紹介2

「「じゃあ次私達ね!」」


達?

見ると、耳が尖った水色とピンクの長髪の二人の女子生徒が前に出てきていた。

ああ、そういうことね。


「アメリア・クローディアです!」

「エミリア・クローディアです!」


察し。


「得意なのは水・風・光属性魔法!」

「得意なのは火・土・闇属性魔法!」

「「後衛魔術師です!」」

「好きなのはお料理すること!」

「好きなのは裁縫すること!」

「「嫌いな魔物はオーク!魔法効きにくいしイヤらしいから!」」

「エミリアには手出しさせないからね!」

「アメリアには手出しさせないからね!」


うん、典型的な双子ちゃんだな。しかもエルフと。この教室の生徒、いろんな属性盛り込み過ぎじゃないかな?

んで、手出しさせないって言いながら二人で俺にすっごいジト目を向けてきてるのはなんでかな?


「じゃあ…次私。」


そう言ってダクネが前に出る。


「ダクネ。家名はない。六属性+無属性系統もいくつか使える後衛。好きなのは勉強…特に数学と魔法理論。『あとラノベ』。嫌いな魔物は特にないけど自分より強い魔物、ってとこかな?基本的にはユリウスの劣化版だと思っていただければオーケーですー」


え、普通に強いんじゃないの?六属性使えるって言った時点でみんなめっちゃ驚いたみたいな顔してたし。それに、自分より強い魔物嫌いだけど特にいないってことは大体の魔物よりも強いってことだよね??そこで比較対象に俺を出すのはやめてほしいけど。あとこっそり日本語でラノベ好きって話せんでええんよ?何となく分かってたし。


「じゃあ次はユリウスだ」


色々考えていた俺は先生に名前を呼ばれて我に返る。


「あ、ああはい」


少し間の抜けたような返事とともに教室の前に出る。


「えっと、ユリウスです。得意なのは魔法と剣術なんで前衛も後衛も行けるオールラウンダーって感じです。好きなことは魔法の勉強と魔法を作ること、嫌いな魔物は…まだ魔物の種類とかよく知らないんでパスで」


一言か…。みんな何故か俺のことめっちゃ知ってるみたいだしな…。


「生まれてこの方友達ができたことがないんでね、みんなと仲良くなりたいと思ってます。よろしく!」


うん、我ながら中々良かったんじゃないだろうか。


そう思いつつ割り当てられた席に戻ろうとしたとき。


「なあ、訊きたいことがいくつかあるんだが…」


先生―ガルム先生というらしい―が声をかけてくる。


あれ?でも…


「他の人には質問なんか一個もありませんでしたよね?」

「ああ、そりゃこのクラスは殆ど繰り上がり式みたいなもんだからな。特に今年はユリウス以外新メンバーは無しだったし」


ああそうか。納得納得。


「で、質問だ。ユリウスが頭おかしいくらい魔法を使えるのは知ってる。だが、剣術もできるとは聞いてないぞ」

「そりゃ、訊かれてませんし…」

「はあ…で、剣術の腕はどれくらいなんだ?」

「あ、でもそんなにですよ?」


ていうか、前世で剣道かじってたから多分できるってだけでこの世界での自分の実力なんかわかんないしな…。


とか考えてると…


「『ねえ、嘘でしょ?小学生のときに剣道の年齢不問の部関東大会ベスト8まで残ったって話知ってるわよ?』」


うおおおおお!!なんで俺の黒歴史知ってるんだよ!?


「『いや、なんで知ってるんだよ!?みたいな顔されてもねえ…。そこそこ有名だったからとしか…』」


は…恥ずい…。確かあのときはベスト8まで残ったのはいいが腹下してトイレ行ってる間に棄権扱いにされてて半泣きになりながら表彰台に登った挙げ句そのタイミングで腹痛がぶり返してきて地獄だったという黒歴史でしかない大会なのに…なんでそんなこと知ってるやつがいてしかもこっちに転生してきてんだよ!?


「えっと、ユリウス君は地元の殆どの大人よりも剣術?が上手でした。ただ、こっちとは型?が違うのであんまり参考にならないかもだけど」

「うむ、極東の国で殆どの大人より剣術上手か。…よしラインハルト、あとで模擬…

「お断りしま…

「させん。俺自身ユリウスの実力を知っておかないといけないしな。まあ本気を出すまでは行かなくても実力の片鱗ぐらいは出させてやれ」

「負け確定って初めから分かってる模擬戦なんて誰がやりたがるんですか!しかも、先生も僕が負けるって確信してるじゃないですか!?」


おお、食い気味に否定するのを読んで更に被せた。先生やるな。

そしてラインハルト。イケメンらしからぬ良いツッコミだ。


「大丈夫だって。俺がやってたのは殺すための剣術とかじゃないから。それに、多少怪我してもここには回復出来る人がいっぱいいるじゃん。心配ないって」

「……。…エイダ」

「…ん?」

「俺が死んだら復活させられるか?」

「無理」

「四肢欠損は治せるか?」

「ギリ無理」

「よし。今回はご縁がなかったということで…」


いやいやいやいやいやいやいやいやいや。


「なんで俺が致命的な怪我を負わせる前提なの!?!?」

「そりゃお前、編入試験で修練場を一発でぶっ壊すようなヤツだぞ?そうなる可能性は充分にあるだろ」

「あれは試験官の先生に『全力でやれ』って言われたからで…」

「手加減…できるのか?」

「当たり前だよ!絶対怪我させないし、仮にしたとしても死んでなきゃ治せるから!」

「「「「……………」」」」


なんで黙るの!?


「腕が千切れても?」

「生やせる」

「上半身と下半身がサヨナラしても?」

「くっつける」

「首が飛んでも?」

「急いだらくっつけるの間に合う」

「「「バケモンじゃねえか!!!」」」

「なんでだよ!」


これが誘導尋問ってやつか…。

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