第14話 自己紹介1

「じゃあ今年から転校生も入ってきてることだし各自自己紹介でもしてもらおうか。名前と、得意なことと戦闘スタイルと好きなことと嫌いな魔物とその理由ぐらい言ってもらおうか。それ+なんか言いたいことを」


嫌いな魔物?いや、ランドイーター?ぐらいしか魔物なんて見たことないし…ああ、村長がウインドドラゴンとかなんとか言ってたな…。


「よし、じゃあ僕からでいいかな?」


…見た感じ王子様の金髪イケメンが教室の前に出た。


「僕はラインハルト・フォン・グーテンバーグ。得意なことは魔法剣と身体強化を使った近接戦闘で、好きなことは付与魔法エンチャントの研究。嫌いな魔物はゴブリンとオーク。奴らは人間の女性を犯す最低な魔物だし、汚い。利用価値といえばハイオークの肉が美味しいらしいことぐらいだが他にいくらでも美味しい魔物の肉はあるしあんな吐き気を催すような見た目の魔物の肉なんて食べようとは思わない。過去に何度も父上に頼んで奴らの討伐隊を結成しようとしたことがあるが…」

「よし、ラインハルトそこまでだ。長過ぎる」


先生おっせえよ。ていうか父上に頼んで討伐隊ってことはやっぱり…


「ああ、先生すみません。ちょっと熱くなっちゃうのが僕の悪いくせでね」


いちいち言動がキラキラしてる気がする。…まあムカつくタイプのキラキラじゃなくて面白い方だからいいが。


「ええと、言いたいことか…。うーん、僕は一応この国の第一王子だけど今はただの学生だから気にしないでってことぐらいかな?」


うん、でしょうね。典型的な王子だもん。


「は〜い、じゃあ次私ね!」


ピンクのツインテールのちっこい、っていうかちっぱい女子が教室の前に出る。


「あれ?なんか失礼な視線に晒されたような…」


うん、気のせいだと思うよ。


「まあいっか、私はミリア・バーキン。籠手と身体強化で戦う近接戦闘特化タイプよ!好きなことは模擬戦。嫌いなのはスライムね。あいつら殴ってもダメージ入らないから。模擬戦したい人、いつでも声かけてね!あっでもユリウス君は手加減できるようになってからお願いね!」


うん、なんで俺への注意事項を最後に入れたの?


「手加減だなんて面白くないだろ?本気でやってもらったらどうだ?」


先程のラインハルトがニヤニヤしながら言う。


「ラインハルト君馬鹿なの?私に死ねって言ってるのと同義よ?」

「いや、流石に手加減し損ねて殺すなんてことはないからね!?」

「ああ…これあれだ。死にかけの重症にされて回復魔法をかけ続けられて死にたくても死ねない状況で永遠に甚振られるやつだ…」

「だから俺が何に見えてるんだよ!!」


くっ、おかしい。このクラスに、いや、この学校に来てからツッコミばっかりやってる気がする…。


「このクラスは修練場の使用が自由に認められているからな。どうでなら後で行ってみればいい」

「せ…先生まで私に死ねって言うんですか…?」

「一度、ユリウスの実力を知っておいたほうがいいだろって意味だ。まあ、お前は一回死んどいたほうがいいかもしれんがな」

「教師としてあるまじき発言!」


いや、まじでだめだろ。

だが、なんとこのミリアという少女、戦闘のセンスと身体強化魔法の強さが認められてSクラスに来たものの勉強が全く出来ず、筆記テストで毎回赤点スレスレの点数を取ってるらしい。どこが他の生徒の見本だよ。


「はい、じゃあ次俺かな?」


全く聞いてなかったかのように流して次の男子生徒が前に出る。ウダウダ続きそうだったしいい判断だ。


「ジョン・ホーク。得意なのは魔導弓術。まあ、読んで字のごとく魔法を付与した矢を飛ばす弓術だね。後衛に入ってプスプス、というよりは狙撃に近いのかな?風魔法を付与して射程と速度を上げた矢で遠くからプスッて感じの戦い方。好きなことは読書かな。魔導書とかもだけど、物語が特に好きだね。嫌いな魔物は…ゴーレムかな。特に硬いのだと全く矢が通らないから大っ嫌いだね。彼女募集中。よろしくー」


最後にぶっ込んできたな!?

ふむ…。狙撃手か。かっこいいな。顔もなんだか爽やか系イケメンだし。緑色のサラサラヘアーだし。なんで彼女いないのか不思議なくらいだ。


「あ…じゃあ次私かな?」


そう言っておずおずと前に出てくる少女。おお、かわいい。茶髪のセミロング。くりくりとした目。巨乳。きっと笑ったらもっと可愛いんだろうなあ、と思っているユリウスの顔を見ると気まずそうに顔を逸してしまった。胸見たのがバレたのかな?

ああ、この子嘘を見抜く魔道具がどうのとか言ってた子だ。だから少し申し訳なさそうなのか。


「さっきのことなら気にしないでいいよ。初対面の得体のしれない相手なんか疑って当然なんだからさ」


そう言うと、顔を赤らめてもっと顔を逸してしまった。

怒ったのか照れたのか。後者だといいなあ…。


「え…えっと。エイダといいます。平民なので家名はありません。得意なのは回復魔法と補助魔法で、後ろからバフ、デバフをかけたり回復したりします。あ、でもアンデッド相手なら回復魔法で戦えます。嫌いな魔物はホーンラビットです。小さい頃に可愛いなーって思って近づいたら殺されかけたことがあるので。えと、もっと攻撃系の魔法も使えるようになりたいと思っています。よろしくお願いします…」


そう言うとそそくさと自分の席に戻っていってしまった。

…ふむ。あの子はまだ心を開いてくれてない感じかな?

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