質問されて・・・

ものの数時間で繋さんの居場所を特定した。

車の中、私は多少の焦りと、言いようのない怒りを露わに、メイド達とボディーガード達を引き連れて繋さんの居る場所まで急いで向かう。

決して勝手に居なくなった繋さんに対して怒っているんじゃない。

繋さんの居るその場所と、繋さんを連れ去ったであろう人物に怒りが抑えられない。


「あの金髪・・・許さない。」


繋さんの居場所を特定したメイドから聞かされた・・・、その場所は、「神之超家の私有地」だと・・・。

それだけで理解した。

繋さんはあの金髪に拉致されたんだと。

今、きっと監禁されているんだと。

私の助けを待っているんだと。

・・・・・・悪いのは、全部あの目障りな金髪だと・・・。


「急いで!ゆっくりしてる場合じゃ無いのよ!!」


ノロノロと車を走らせるメイドに指示して、スピードを上げさせた。

ルールなんて今はどうでもいい・・・。

私にとって、繋さんが全てなんだから・・・。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ガシャンガシャンと、部屋に響き渡る音。

暴れる俺に連動して、首の鎖が激しく音を立てる。


「やめっ!やめて下さい!!」

「この手を離しなさい繋!!私に逆らう気!?」


両手で少女を押し退け、何とか距離を離す。

それに対して、また俺にキスをしてこようと迫る少女。

不意打ちだった・・・。

顔を挟まれたと思ったらいきなりキスされていた・・・。

すぐに距離を取ろうと思ったが、首の鎖が邪魔で上手く動く事ができない。


「上書きしてあげるって言ってるのよ!?アイツにされた事全部吐きなさい!!私が同じ事して、私との事しか思い出せない様にしてやるっっ!!!」


空いた両手で俺の胸倉を掴んで力強く揺すられる。

その度に鎖が絞まって苦しい・・・。

けど、ここで手を離しちゃだめだ。

次に距離を縮められたら最後だと思わないといけない・・・。

声を張り上げていた少女も、疲れて来たのか、段々とその勢いは無くなっていき・・・最後には俺の上で息を切らしていた。


「繋・・・どうして・・・なの・・・」


たどたどしく喋る少女。

息を切らしながらも、俺の事を睨みつけている。


「もう、やめて下さいお嬢様。・・・こんな事をしても、何も・・・」

「黙りなさい!!私の言う事は絶対だって、そんな事も忘れたの!?」


勢いよくベッドから飛び降りると、ベッドの下でゴソゴソとしだした。

・・・そして、次に少女が姿を見せた時、その手には・・・・・・バチバチと電気を放つ物が握られていた・・・。


「!!?」

「忘れたのなら無理矢理にでも思い出させてあげるわ!!」


凶器と言ってもおかしくないそれを握りしめ、また俺の上に乗りかかってくる・・・。

絶えず電気を放つそれを間近に見せつけられ、手も足も出す事ができなくなった・・・。


「ねぇ繋、これ・・・何か分かるわよね?」


コクコクと頭を縦に振る。

ニヤリと笑う少女。


「なら、これから私が言う事にちゃんと答えなさい。・・・でないと、どうなるか分かるわよね?」

「・・・わ、わかり、ました・・・」


俺の返事を聞いた少女が、俺に尋ねる。


「ねぇ、繋。どうして私の傍から居なくなったの?」

「・・・元々は、期間が決められていて・・・それで、辞め・・・ました・・・」

「そう・・・。なら、どうしてよりにもよってアイツに仕えていたの?」

「そ、それは・・・」


言葉に詰まる俺・・・。

深弥お嬢様に迫られてなんて、言えるわけない・・・。

ゆっくりと口を開いて、答えた。


「それは、偶然です。・・・仕事募集の張り紙があって・・・行ってみたら・・・、それだけ・・・です・・・」

「・・・・・・そうなの。」


手に持っていたそれをゆっくりと下ろしていく少女。

心臓が止まるかと思ったが、上手く誤魔化しきれたみたいだ・・・・・・そう思った瞬間・・・。


「繋・・・嘘はダメね・・・」


下りていった手が俺の腹部に当てられた。

瞬間、電気の音がより一層強くなったと思えば・・・・・・体に今まで味わった事のない痛みが走った・・・。

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