見せつけて・・・

久々に目にした金髪の少女は、「迎えに来た」と俺に告げた。

まるで、あの時の深弥お嬢様の様に・・・。


「こっちに来なさい、繋。」


手を差し出し、自分の元へ戻ってくる様に言ってくる。

固まる俺の前に、深弥お嬢様が立ち塞がる。

それを見た金髪の少女は、気に食わないといった表情で深弥お嬢様を睨みつける。

金眼と銀眼が、火花を散らせている様に見えた。


「退きなさいよ!繋の邪魔になってるのが分からないの!?」

「それはこっちのセリフよ。いつまで繋さんに付きまとうつもり?いい加減に諦めたら?」


言い合いが加速していく。

運が良いと言っていいのか、学校からまだ少し離れているため、人目には付いていない。

誰かに見られる前に止めなければ・・・。

意を決して前に出ようとした時、金髪の少女が俺の首元を見て目を見開いた。


「繋っ、何でそんな物着けてるの!?」


深弥お嬢様に着けてもらった白いチョーカーを見て金髪の少女が叫んだ。

その声に驚いて、つい首元を手で隠してしまった。

その行動がいけなかった・・・。

我慢の限界にでも達したのか、目の前に立ち塞がる深弥お嬢様を押しのけて、俺の前までやって来た。

次の瞬間には、俺は腕を引っ張られていた。


「帰るわよ!!車の中でそれは千切り捨てなさいっ!!」


どんどん引っ張られて行く。

歩いて行く方向には見慣れた車が・・・。

手を振り払おうとすれば出来たのかもしれない・・・けれど、仕えていた時の事を体が覚えているのか、意志に反して体が言う事を聞かない。


「っ!?・・・何の真似?」


急に立ち止まった俺に引っ張られる金髪の少女。

振り向いて圧を掛けるように言い放った。

・・・・・・反対側の俺の腕を掴んでいる、深弥お嬢様に向かって。


「離してよ、私の繋さんよ!」

「私のだって言ってるでしょ!」


また、言い合いが始まる。

今度こそ止めようとした時、深弥お嬢様が俺を自分の方へと引っ張った。

そのまま俺は膝をつき、深弥お嬢様の目線が合った。

そして・・・・・・。


「なら見せてあげる!私達の仲を裂けないって証拠を!」


深弥お嬢様に顔を掴まれ、・・・・・・そのまま唇を奪われた・・・。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


何?

私は・・・今・・・、何を見せられているの?

私の繋が・・・。

アイツと・・・。

何を・・・して・・・。

ヤメロ、音を聞かせるな。

ハナレロ、繋に匂いが移る。

サワルナ、触れていいのは私だけだ。

あぁ・・・繋繋繋つなぐつなぐつなぐっっ!!!!!


「オマエェェェェェェェェッッッ!!!!!」


本当に殺す勢いで、私は繋に絡み付く銀髪の害虫の顔目掛けて拳を振った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


初めからこうしてれば良かった。

これで分かったでしょ?

繋さんは私のだって。

味わい尽くせるのも、匂いを堪能できるのも、好きなだけ触れる事が出来るのも・・・、全部私の特権。

あはは❤

繋さん❤繋さん❤繋さん❤繋さん❤繋さん❤❤❤

分からせるためにやったのに、それを忘れて夢中になっていた。

横から何やら奇声が聞こえた。

横目に見ると、金髪が私に向かって殴りかかって来ていた。

この距離だから、避ける事は出来ない。

でもそんな事はする必要はない・・・・・・だって、


「!?離しなさい繋っ!!こいつだけは死んでも許さないっっ!!」


私の繋さんが守ってくれるから❤

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