これからを考えて・・・
「あの、深弥お嬢様?本当にお送りしなくていいんですか?」
「うん!繋さんは私の帰りを待っててね❤」
朝食を終え、深弥お嬢様を学校までお見送りしようと思ったら、一人で行くと言い出した。
確かに以前も見かけた時は、朝も帰りも一人だった。
「しかし、やっぱり一人は危ないんじゃ・・・」
「大丈夫だよ!実はこっそりボディーガードの人が付いてきてくれているから。」
「そうなんですか?」
「ほら!」
そう言って深弥お嬢様が指さす方に、確かにボディーガードの方達が数人待機していた。
「なら・・・いいんですが。」
「ね?だから繋さんは待っててね❤」
「分かりました。いってらっしゃいませ、深弥お嬢様。」
「行ってきます❤」
俺の返事に気を良くして、深弥お嬢様は行ってしまわれた。
それを見送った俺に、メイドさん達が近づいて来た。
「お嬢様は一人の登校が良いみたいで・・・、送迎すると言ったんですが・・・。」
「そうなんですか・・・。」
「はい。・・・でも、無逃さんが来てから人が変わりました。」
「えっ?」
「以前は滅多に笑う事も無ければ、あんなに喋る事も無かったので・・・家の者も皆驚いていましたよ。」
それは、俺の影響なのか?
だとすれば、とても良い事だと思う。
学校でも今の様な調子なら良いんだけどな・・・。
「それにお嬢様が言ってましたよ?無逃さんの事を聞いたら、「私の夫」だって。」
「えぇっ!?そんな事、言ってたんですか!?」
「えぇ。それにも皆驚いていましたよ。良かったですね、逆玉の輿じゃないですか!これからもお嬢様をよろしくお願いしますね、未来の旦那様!」
「や、やめて下さいよ!」
こっちのメイドさん達も、冗談を言ったりするのか・・・。
深弥お嬢様の前だからか、キッチリしている所しか見ないから、何だか変な感じだ・・・。
メイドさん達に弄られながら、家の中へと入った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
学校へと向かう車の中、朝から最悪の気分だった。
繋が傍に居ない事が原因の一つ・・・そして、更に頭に来る事が。
「あの銀髪っ・・・!!絶対に許さない!!」
昨日メイド達に言って色々調べさせた。
そうしたら、お母様の会社の人間が言っていたらしい。
「更上神様の娘様が社長に会いに来ていた」・・・と。
それだけで理解した。
繋が辞めたのも、繋が今何処に居るのかも、昨日あの銀髪が学校に居なかったのも・・・全部あの銀髪が・・・!!
「~~~っっ!!?」
考えるだけでイライラして、鞄を何度も何度も叩く。
運転しているメイドは見て見ぬ振りをする。
それもそう、私に小言何て言えるのはお母様か・・・繋くらいなんだから。
繋は他の奴らなんかとは違う。
私にとって必要で、繋だって私を必要としているはず。
・・・なのに、それをあの銀髪が・・・。
「繋にはお仕置きするとして、あの銀髪にはもっともっと痛い目見せてやるっ・・・!!」
銀髪に対して頭にきながら、また鞄を叩いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
私は世界で一番幸せな人間だと思う。
だって、世界で一番幸せにしてくれる人と出会って、その人が私の帰りを待っていてくれるから。
朝は一緒に起きて、朝食を食べて、「いってらっしゃい」を言ってくれて、帰ってくれば「お帰り」から眠るまで一緒。
それに・・・。
「今日は一緒にお風呂・・・あはは❤」
明日は着替えさせてくれる。
あぁ・・・本当に良かった、あの時、神之超の社長さんにあぁ言って。
本当ならそう簡単に会ってくれる相手ではないけれど、私は違う。
更上神の人間だったから、融通がきいたんだ。
その娘なら尚更。
自分の身分にも興味なんてなかったけど、今はそれに感謝している。
そのおかげで、繋さんが私の傍にいてくれるんだから。
最高の気分で学校に着いた。
こんな気分初めてだった。
これも繋さんのおかげ・・・なのに、それは一瞬の夢物語のように消えさった。
「・・・アンタ、よくもっ!!」
私の目の前に立ち塞がる、金髪によって。
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