第18話 討伐

「すいません師匠。ゴブリンってどこにいるんですか?」


 俺はルネアさんに聞こえないように師匠に耳打ちする。


「ここから一番近いのが新緑の森ね。王都を正門から出て街道を5分くらい歩いて左手側に広がっている森よ。行けばわかるわ」


師匠はそう言うとさらに、


「それよりも、出る前に防具買っておきなさい!」


そうだった。忘れてたわ。

 俺はルネアさんに振り向き提案する。


「王都を出る前に少し店を見て行きませんか?もしもの事を考えて準備しておいたほうが良さそうなんで」


「分かりました!しかし敬語はやめて下さい。今の私は冒険者です」


「わ、分かった」


少し慣れないなあ。

むず痒いく感じながら俺は防具屋へと進んでいった。

 そういえば師匠が居なくなってる。

空気読んでくれたのかな?


 2分後、防具屋に着いた。

俺は緊張した面持ちで入る。

防具屋って入るの初めてなんだよな。


「へい、らっしゃい」


カウンターには筋肉ムキムキのじいさんが座っていた。


「すいません。初心者用の防具を見積もってくれませんか?」


表通りに面してる店だしそんなにぼったくらないでしょ。

一応、金は余ってるしルネアに何か買ってもいいかな?


「ルネアも何か欲しいものある?」


「いえ、大丈夫ですよ」


 さっきからルネアはずっとニコニコしている。

そんなに嬉しいのだろうか。

なんか照れる。


「これなんかどうだ?軽くて防御力もそこそこある。お客さん金持ってそうだからちょっと高いが大丈夫だろ」


なんで金持ってるって分かるんだ?

 俺は全身を見てみる。

腰を見ると、そこには白く輝く剣がかかっていた。

これか。

いらぬ争いを避けるために隠しておいた方が良さそうだけど、隠すところがないな。

そういえば師匠よく物をローブから出していたな。

今度タネを聞いておこうかな。


「おい、買うのか?」


おっと、考えるのに夢中になってた。


「買います!」


俺は金を払い、鎧を受け取る。

革鎧だな。てか鎧と言うよりかは胸当てだ。

 鎧を店の奥でつけさせてもらう。

思っていたよりも軽い、普通に動けそうだ。


「ありがとうございます!」


お礼を言って店を出る。


「ごめん。俺だけなんか買っちゃって」


「大丈夫ですよ。それより早くゴブリンを倒しに行きましょう!」


あ、これ気にしてるやつだ。

ほんとにごめん。


「ごめんね。じゃあ行こうか」


「大丈夫ですって」


変なところで突っかかってくる。


「ああ、うん」


なんか大丈夫かな?

後先が不安で仕方がないが今は行くしかないだろう。

そう思いながら俺は王都の外に出ようとしたとき、


「あ、あの良ければステータス教えてくれませんか?私のも見せますので」


えー、なんか嫌だなあ。

でもルネアのステータスも気になる。

 考え抜いた結果見せることにした。


「わかった。これが俺のステータスね」


懐からステータスカードを取り見せる。

ルネアは俺に自分のを渡してから目を輝かせながらそれを見る。

俺もルネアのを見てみる。


ルネア・ヨーランド


Lv.0.


筋力 14

魔力 20

敏捷 15

物防 13

魔防 11

幸運 11


スキル

水魔法lv.1 風魔法lv.1


 祝福を受けてこれか。

でもレベル0の時点でこれはきっとレベルが上がったら俺追い越されそうだな。

てか魔力と敏捷しか15に届いてないじゃん。

きっと1年以上前にギルドに入ったんだな。

いや、それでもおかしい。

今ならともかく1年ぐらい前だったらまだEランクの冒険者が沢山いたはずだ。

そいつらとパーティーを組めば討伐クエストなんて簡単なのに。

 なんか怪しいな。

俺はルネアを見る。

しかし当の本人は


「すごいですね!ステータスとても高いし、呪術スキルも持ってる!すごい!」


ぴょんぴょん飛び跳ねながら興奮していた。

なんか馬鹿らしくなってきた。

 俺は反省しながら歩いて行った。


 王都を出てから5分。

俺は新緑の森に無事、到着することが出来た。


「ここからもう、ゴブリンがでる...」


ルネアが呟く。


「警戒を怠らないで」


俺はそう注意して、慎重に奥に進む。


「ッ!いる!」


俺はそう小声でルネアに伝える。

 ルネアはビクッとして立ち止まる。

そして顔が青ざめて、プルプルと震え出す。


「大丈夫だからよく聞いて。俺が最初、不意打ちするから、もしそれで倒せなかったら、魔法で追撃してね」


コクコクと頷いてくれる。

 俺は深呼吸をして、構える。

大丈夫だ。何回も戦ってきた相手じゃないか。

何を恐れる必要がある。

 姿勢を低くして、縮地法で音もなくゴブリンに近づく。

そして一閃!

ゴブリンの首が落ちる。


「ほら、大丈夫だったでしょ!」


「すごい...」


やばいなんかめっちゃ気持ちいい。

しかしその空気に水を差すが如く、


「キシャァ!」


ゴブリンが3匹飛び出してくる。


「きゃあぁぁぁ!」


ルネアが叫ぶ!


「大丈夫だから、俺の背中に来て!」


これは少し、キツそうだな。

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