第二章

第13話 登録

「一週間ありがとうございました!」


 治療院の方々に頭を下げる。

入院してから一週間経った。

体はもう完治していて怪我をしていた事を忘れてしまいそうなくらい体に力が漲ってくる。

治療魔法すごいなぁ。


「もう無茶はしないでくださいね!」


しかも可愛い女の子もいるし。

 一般的に魔法は女の方が適性が高いと言われている。

原理はまだよくわかってないらしいが体の構造的な関係だと予想されている。

 逆に力仕事だったり前衛とかは男の方が適正がある。

まあ、例外もいるらしいが。

俺なんかは両方に片足を突っ込んでいる感じだ。

しかし師匠曰くランクが上がればあまり関係がないだそうだ。

 ランクと言えば今日俺は冒険者登録をする。


「ほら、行くわよ」


 だから今師匠と一緒にギルドに向かっているところだ。

 ずっと入院生活だったせいで曜日感覚が狂ってしまったらしく人々の喧騒を聞くまで今日は休日だと言うことを忘れてしまっていた。

俺が初めてここに来てから1ヶ月過ぎたんだよなぁ。

 王都は俺が最初に来たときの雰囲気とだいぶ異なっていてなんていうか柔らかい感じになっている。

 道具屋のおっさんに前聞いてみたところ、時期が悪かったそうだ。

 大侵攻の峠、魔物の勢いが一番盛んなときだったらしい。

ほぼ全員の冒険者が食い止めているらしいので王都はほぼ無防備な状態だった。

なので雰囲気がピリピリしていたらしい。

 今はもう結構な数の冒険者が戻ってきていて、以前の活気が戻りつつあるらしい。

 気付いたら冒険者ギルドに着いていた。

感慨深いなあ。

全ての始まりの場所だもんなあ。

 師匠が扉を開ける。

 中は前来たときとは比べものにならない程の人で賑わっていて誰も俺たちの事など気にしていない。

そのままカウンターまで歩く。


「待っていました、サヤ様、ギル様。冒険者登録ですよね」


そこにはミーアさんが立っていた。

いつもと違い完全な仕事モードみたいな感じだった。


「ええ、そうよ。ちゃっちゃとしちゃいなさい」


ミーアさんはカウンターの下からカードを出す。

そして俺に針を差し出す。

俺はカードに血を垂らした。

するとカードにステータスが浮かび上がる。


Lv.1


筋力 16

魔力 16

敏捷 15

物防 10

魔防 6

幸運 10


スキル

呪術lv.3 火魔法lv.2


「確かに3項目が15以上ですね。はい、これから冒険者の儀式を行います。手を前にかざしてください」


言われた通りに手を前にかざす。

すると俺の手が光り、その光は球となってカードに吸い込まれていく。

 光が収まるとカードの表示が少し変わっていた。


冒険者 Lv.1


筋力 21

魔力 20

敏捷 20

物防 14

魔防 10

幸運 15


スキル

呪術lv.3 火魔法lv.2


ステータスが大幅に伸びている。

これが祝福という物か。


「レベルアップしたときの上昇値も増えてますよ」


かなりすごいな。

そりゃあ生身の人間が勝てない訳だ。

各項目5くらい増えているからなぁ。


「こほん。すみません説明させていただきます」


「説明はいいわ。私がしとく」


師匠が止める。

ミーアさんは少し不服そうな顔をしながら言葉を続ける。


「分かりました。ならこれで冒険者登録を終わらせていただきます」


意外とあっさりしてるなあ。

そう俺が思っていると師匠がギルドの奥へ進んでいく。


「し、師匠。どこに行くんですか?」


「訓練場よ。着いてきなさい」


急いで追いかける。

 ギルドのホールらしき場所を抜け、廊下を真っ直ぐ進んだ後、ドアを開けると、広い場所に出た。

ここが訓練場か。

よく見ると何人かが各々の武器を使って訓練している様子が目に入る。


「ちょっと待ってなさい!ギルの先生を呼んでくるわ」


そう言って俺を置き去りにしてどこかに言ってしまう。

 暇なので周りの人に倣って剣の素振りをしてみた。

レオンさんから貰った剣を抜き、何回も振る。

まだ馴染んでないからか重く感じる。

何回も振って慣れないと。

 それから暫くして師匠は2人の男性を引き連れて戻ってきた。


「ギル、連れてきたわ。この人がギルの新しい師匠よ!」


 新しい師匠と呼ばれた人は前に出て自己紹介してくれる。


「どうも。僕なんかでいいのかって感じだけど。ああ、忘れてた。僕の名前はルーク。ルーク・ライトリヒ。一応、剣聖をやらせてもらっているよ」

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