第10話 師弟
剣術の武技の中にもいくつか種類がある。
まず大きく2種類の流派があり、名前はそれぞれ、
ターリア流と東方流だ。
2つに分かれているがあまり違いがなく近年では合体しつつあるらしい。
流派の中でも上段、中段、下段と3つに分かれている。
まず上段は、1撃に重きを置いた武技が特徴である。
次に中段だが、中段は威力と攻撃回数とのバランスの良さが特徴であり、下段は攻撃回数がひたすらに多い武技が多い。
総合的な強さはどれも変わらないが下段の方が剣術レベルが高くないと会得できないらしい。
さらに武技の中でも圧倒的な威力を持つものを上級武技という。
上級武技は発動する直前に剣が青く光るという特徴があるらしい。
私は剣術スキルを持ってないので詳しいことはよく分からないけど
それを使いこなすギルは一体....
ここ、魔素が薄いわね。
だから死体が残っていたのかしら。
魔法の威力はいつもよりは低くなりそうね。
「刺突...」
杖を構えて魔法を使おうとする私に向かって突撃して来る。
「結界!」
魔法が発動するのとギルが私を突き刺そうとするのがほぼ同じだった。
だが私の方が少し早い。
キィィィィン!と甲高い音が鳴る。
不可視の壁が攻撃を防いだのだ。
何度も剣を振るうが壁は壊れない。
今のうちに、
私は相手を昏睡状態にする魔法を使う。
能力差はかなりあるから効くはず!
しかし私の思惑を外れ、全く効かない。
一度距離を取る。
「火扇」
剣が炎を纏う。
そしてそのまま振り下ろす。
攻撃された結界が音を立てて壊れる。
振り出し...ね。
なるべく体にダメージを与えたくなかったけどこの際仕方がない。
「オールマジック!フォームサークル!」
カラフルな色弾が数百発ギル目掛け放たれる。
ある程度力を抜いたが大丈夫だろう。
死にはしないはず。
「ッ!...ありえない」
ギルは避けた。
何百発もの弾を避けながら私に近づいてきた。
普通だったら避け切れる筈がない!
「魔法を斬ってる?」
両手の剣を使って器用に魔法を斬っている。
どうしても斬れないのだけ躱す。
最早人間離れした動きに私は驚愕を隠せなかった。
「これならッ...どうかしらね!」
杖を高く掲げて祈る。
すると辺りに電気が走って、上からギル目掛け雷が落ちて来る。
魔法を斬るので手一杯な筈。これは流石に回避できないしょ!
しかし私の予想とは裏腹に、
「...雷切」
雷を斬った。
割れた雷は地面に落ちた。
雷の威力が高いのは未だに地面を走っている電気を見れば明らかだろう。
そして返す刀で私に突進してきた。
もはや弾に当たってもお構いなしに突っ込んでくる。
「瞬殺...」
剣が青く光る。
雷魔法を使った反動で回避行動が取れない!
仕方がないので杖で迎え撃つ。
私の杖は特注品だ。私の背丈ほどに長い杖は時には近接武器にもなるのだ。
剣と杖が交差する。
思ったより攻撃が重い。
しかし受けきった。
ここから反撃、と思ったが、ふと違和感に気づく。
ギルの剣がまだ青い。
普通、技が終わると同時に剣の光が続く。
まだ光っているということは、まだ技が続いているか、新しい技を使おうとしている、のどちらかだろう。
油断せずにギルの動きに注意する。
すると突然、物凄い力で押される。
スキルの力か!
キツすぎる。耐えきれないっ!
これは受け流すしかない!
杖で剣を滑らせその勢いで後ろ側に回り込む。
このまま頭を殴れば気絶する筈!
杖を上に構えた瞬間、
ありえない速度でギルが振り向く。
そして青く光る剣で....って青く光る剣?
やばい、やばいヤバい!
「エクスプロージョン!」
杖の先から閃光が走り、大きな爆発を生む。
衝撃で私は吹き飛ばされるが問題ない。
距離を取ることはできた。
煙が晴れる。
そこには腕を押さえたギルの姿があった。
流石に無傷ではないのね。よし!
ここから一気に決めるわよ。
ローブの中から小瓶を出す。
それをギルがいる方向の地面に投げる。
小瓶は地面に当たって砕けた後、中にある液体をそこら辺に撒き散らかす。
その瞬間雷が上に登る!
直撃したギルは膝をつく。
電気ポーション、うまく効いたわねー。
ここまで傷を負ったならきっとこれは効くわね。
私は懐からさっきとは違う小瓶を出す。
そしてそれを投げる。
ギルはそれを剣が斬って当たらないようにする。
しかし小瓶が割れた瞬間、中から黒いモヤが飛び出し、ギルを包む。
モヤを浴びた彼は地面に倒れる。
「やっと終わったわねー」
背伸びをして、ギルを担ぐ。
これがBランク冒険者、「錬金術師」サヤの戦い方だ。
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