孕ませ屋─コウノトリ─

結城彼方

孕ませ屋─コウノトリ─

20XX年。世界は未曾有の格差社会を迎えていた。日本だって例外じゃない。東京を中心にS、A、B、C、D、Eと階層分けされていた。俺の生活エリアはC階層だが、仕事場はD、E階層。つまり底辺だ。仕事は何をしてるのかって?何て言ったら良いのかな。精子提供者というか、、、あまりこの呼ばれ方は好きじゃないんだけど、俺みたいな連中はこう呼ばれている。


孕ませ屋コウノトリ」と。


要は、妊娠を希望する女を孕ませるのが俺の仕事だ。それなら精子だけ提供すれば済む話じゃないかって?確かに多くの連中はそうしてる。だけど俺は顔も体も良いからね。産地直送を希望する人が多いのさ。外見が良いと強い遺伝子の証明になるし、女も健康な子供が欲しいだろうからね。そのために俺自身も努力している。体は常に鍛え、性病予防薬もS階層から輸入したエイズだって予防できる最高級品を使ってる。


話を戻すと、貧しい女は常に子供を欲しがっている。昔は労働力として欲しがった時代もあったらしいが、現代いまは違う。子供は上層階うえの連中に商品としてのニーズがあるのさ。だから、母親になった女は、ある程度子供を育てたら売りに出す。当然疑問に思うだろう。「上層階うえの連中が底辺層のガキを欲しがるのか?」ってね。だが心配は無用だ。上層階の連中やつらが欲しいのは子供の臓器なかみだけさ。

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