第8話

 私がアーサー王太子から与えられた賓客用の部屋で寝ていると、夢の中にヴィーザル司法神が現れて話しかけてこられました。


(ソフィア。

 我はお前の事が気に入った、聖女としての力を授ける。

 とはいっても、我の力はそれほど強くはない。

 聖女としては最低限の治癒に力が増すくらい)


(お待ちください、司法神ヴィーザル様。

 私は追放されたとはいえ、アポローン神の聖女です。

 二柱の神の聖女になるなど、許されないのではありませんか?)


(それは大丈夫だ。

 アポローンとは話がついている。

 ソフィアはアポローンの神性のなかでも羊飼いの守護神、光明の神、遠矢の武神の聖女として力を与えられている。

 それは我の法と正義に相反するモノではない。

 むしろ光明とは相性がいいのだ)


(神々の間で話し合いが終わっているのでしたら、私に否やはございません。

 聖女としてお力を授けていただいたお礼は、どうすればよろしいのでしょうか?)


(神族として守護契約をしていないのに、礼をしてくれるというのか?)


(神のお力を分け与えていただいた以上、お礼をするのは当然でございます。

 まだ何ができるか分かりませんが、できる限りのお礼をさせていただきます)


(礼をしてくれるというのなら頼みたいことがある。

 私は戦いの神ではないので、他の神からの攻撃を全て跳ね除けられない。

 アーサーを護ってやって欲しい。

 ソフィアは我とアポローンの二柱の神の力を得た。

 治癒神の聖女には及ばないが、治癒の力は強い方だ)


(分かりました。

 何かあればアーサー殿下を癒します)


(それと、ソフィアはアポローンの遠矢の武神の力を得ている。

 潜在能力はアーサー以上だ。

 敵がアーサーに近づく前に射殺してくれ)


(承りました。

 お言葉通り、先制攻撃でアーサー殿下をお護りします)


(最後の頼みなのだが、私の神性ではこの国を豊かにすることは難しい。

 ソフィアの力で、この国の民を飢えから救ってやってくれ)


(引き受けさせていただきたいのですが、具体的な方法が分かりません。

 どうすればいいのでしょうか?)


(一つはアポローンの神性、羊飼いの守護神の力を使って、草原を広げて牧畜ができるようにして欲しい)


(承りました。

 必ずご期待に応えてみせます)


(もう一つは、異世界の悪神によって創り出されたダンジョンに入って魔獣を狩り、それを食糧としてこの国に広めて欲しい。

 命懸けの戦いになって悪いのだが、できれば頼みたい)


(私の力でどれほどのことができるか分かりませんが、やれる限りのお礼をさせていただきます)

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