第7話

(解呪できるなら、解呪すればいい。

 残念だがアポローンの力はそのままだ。

 だが私の力はアーサーの努力でましている。

 今なら何とかアポローンからアーサーを護れるだろう)


 アーサーがヴィーザル神に祈り、私の疑問を確かめてくれました。

 ヴィーザル神とシャノン王家との契約は、法と正義の厳守のようです。

 間違っても人間を生贄にしたりする事ではないと思います。

 まあ、真実など神と王家にしかわからない事ですが、神と交信できる野獣王太子の性格と行動を見れば、推測くらいはできます。

 それは、チャーリー国王も同じですけれど……


「では、解呪できるか試してみます」


「頼む」


 いよいよ私の出番が回ってきました。

 これで解呪できなかったら恥さらしですが、仕方がありません。

 恥を覚悟しなければ、命の御恩を返す事などできません。

 そもそも未だにアポローン神の加護が続いているだけで幸運なのです。

 先代聖女イザベラ様に及ばないのは当然の事なのです。


 失敗して謝るはずでした。

 野獣王太子に謝る覚悟はできていました。

 普段の野獣王太子の言動から、失敗しても責められることはないと思っていましたが、逆に慰められたりしたら、いたたまれずに思いっきり落ち込みます。

 ですが、なぜか、成功してしまいました。


「ありがとうございます、聖女ソフィア。

 貴女のお陰で人の姿に戻る事ができました。

 このお礼は命懸けで返させて頂きます」


 アーサー殿下の言葉に、頭がクラクラしてしまいます。

 現金な事ですが、しかたないのです。

 二百二十センチの高身長は変わりませんが、私は見た事はありませんが、野獣王太子とまで陰口を叩かれていた姿が、輝くような金髪、春の海のような碧眼、透き通るような白肌、美神のように整った容姿。

 魅了されてしまうのが当然なのです!


「いえ、そんなに気にしないでください。

 でも、そうですね、王城に居場所を作ってただけたら、助かります」


「簡単な事です。

 聖女ソフィア様は私を人に姿に戻して下さった恩人です。

 国としての対応は私個人が約束する事はできませんが、王太子宮の賓客として迎えさせて頂きます」


「ありがとうございます、アーサー王太子殿下」


 我ながら現金な対応だとは思いますが、これほどのイケメン男前に命の恩人などと祭り上げられたら、のぼせ上ってもしかたないと思うのです。

 衣食住の心配なしに、男前を側近くで鑑賞できるのです。

 こんなチャンスは二度とないかもしれません。

 利用しない女はいないはずです。

 少なくとも私は利用します!

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