第13話

「正直難しいですね。

 刺客に命を狙われている身です。

 狙われてさえいなければ、レオナルド様もジェミー様も教養をお持ちなので、私塾を開く事もできるのですが……」


「やはり皇国を頼らなければいけませんか?

 そうなれば、私と子供は確実に人質にされてしまいます。

 そんな生活は嫌なのです。

 私はレオナルド様と幸せな家庭を築きたいのです。


 私は本心を正直に話、ソニー達に話しました。

 ソニー達も真剣に考えてくれました。

 でもそれは、とても難しい願いでした。

 レオナルド様と私の安全を確保しつつ、収入を確保する。

 そうなると、四人の侍女は常に私達の側から離れられません。


「よろしいですか、ジェミー様」


「ええ、もちろんよジャスパー。

 何か思いついてくれたの?」


「大した方法ではないのですが、私達が常に側にいてできる仕事となりますと、製本や写本はいかかでしょうか。

 レオナルド様とジェミー様は幅広い知識をお持ちです。

 それを製本すれば売れると思うのです。

 ですが製本は売れない可能性もある勝負です。

 確実に手数料をえるなら、写本という方法もございます」


「たしかにそれは一つの方法ですね。

 それなら子供が生まれても仕事を続けられます。

 皆も常に側にいてくれます。

 考慮に入れておきましょう。

 他に考えはありませんか?」


 私は他のアイデアがないか聞きました。

 聞きながら自分でも考えてみましたが、自分がいかに無理難題を言っているのかが、とてもよく分かりました。

 ソニー達だけなら、傭兵や狩人として十分やっていけます。

 いえ、侍女として高位貴族に仕えるだけの技量があります。

 それなのに、レオナルド様と私に忠誠を尽くして側にいてくれます。


「レオナルド様とジェミー様は、乗馬の腕もなかなかですよね?

 特にレオナルド様は騎士として働けるくらいの腕前です。

 私達も騎士並みの乗馬ができます。

 牧場を経営しつつ、調教の依頼もうけるのはどうでしょう?

 幸い優秀な軍馬を連れてきています。

 あの子達の子供で、軍馬の調教を終えた若駒なら、結構な高値で売れると思うにですか?」


「それです!

 それがいいです!

 よく考えついてくれました、アーロン。

 牧場を開きましょう。

 さっそくレオナルド様のお話ししましょう」


 私は急いでレオナルド様に話したかったのですが、しばらく待たなければいけませんでした。

 レオナルド様が、私の妊娠について神官長と話し合ってくださっています。

 私が心変わりしたので、その詫びと相談です。

 非常に時間がかかった話し合いで、正直心配なりました。

 そして話し合いの結果も、私には驚くべきものでした。

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