第23話 路地裏での一戦
ケインは屋敷に戻ろうと王都の商会地区を歩いていた。ふと気配を感じる。どうやら尾行が付いたらしい。ため息をつくケイン。
帰り道を外して裏通りの人気のいない方へと誘う。どうやらついてくるらしい。まだ夕日が見える時間帯、ケインは裏通りの奥にある空き地に到着する。もうこの辺りには人影は少ない。わらわらと出てくる男たち。
前方に5人。後方に2人。
「念のため聞こう。何者だ?」
ケインの問いには誰も答えない。全員が短刀を抜いて構えた。息を吐くケイン。
「大方、さっきのボーグとかいう商会の次男に雇われたか?悪いことは言わない。立ち去れば追わないぞ?」
男たちはニヤニヤ笑っている。B級ハンターなら敵ではないと思っているのだろうか…。
「そうか。覚悟はできているか…」
そうケインが言った。転瞬、背後の2人に目もくれず、ケインが抜く手も見せずに短刀を持つ手を斬り飛ばした。目の前で短刀を構えた男から絶叫が上がる。ケインが動く。疾風となった動きは絶叫に驚いて動きを止めた男たちに襲い掛かった。
腕を切り飛ばされた男の左側にいた2人に鋭く踏み込み、至近距離から黒い長剣を振るうケイン。二人とも短刀を持つ手を切り落とされる。絶叫が2つこだまするよりも前にケインは既に残り2人を捉えている。沈み込むように斬撃を放つケインにより一人の男が足の腱を斬られて蹲る。一人が向き直るときに合わせてケインは男の目を斬り飛ばす。思わず顔面を抑えた筈の手は腕ごとケインに両断されていた。
くるりと向きを変え後方にいた2人に殺気を飛ばすケイン。2人は既に及び腰だった。しかしケインは攻め手を弱めない。神速で肉薄し2人の太ももにバッサリと深手を加える。
もはや幾つもの絶叫が重なったのかも分からない。襲ってきた男たちは斬られた部位を抑え、ただ蹲るしかなかった。
ケインは男たちを騒ぎを聞いて集まってきた騎士達に引き渡した。誰かに頼まれたらしいが、シラを切るなら物取りとしてきつく調べてくれと言っておいた。男たちはケインが騎士達と知り合いなことに驚いた様子だったが訳も分からず連れていかれた。
まったく酷い一日だったと思いながら屋敷に帰ったケインだが、執事のアルフレッドから一通の手紙を渡されることになる。
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