第20話 最後の部屋①
あの後、武器庫以外に3つの部屋を探索したが、二段ベッドがある部屋だとか、倉庫みたいなとことか、会議室みたいなところとかがあった。どの部屋にも骸骨がおありになったので、それぞれ合掌をしておいた。
それらの部屋にめぼしいものはあまりなかったが、倉庫には結構な数の保存食があったのでそれらはありがたくいただいた。そんなこんなで探索はまあまあ順調に進んでいった。
「ここが……最後の部屋みたいだな」
どうやらここが最後の部屋みたいだ。本当はもう一つ扉があったのだが、そちらは地上につながる別の階段につながっているみたいだった。
そんなわけでスマホのライトで照らしながら、木製の両開き式のドアを開け部屋の中へと入る。
「……むっちゃ骸骨あるやん」
真っ先に目に飛び込んできたのがそれだった。ここから見ただけでも6人分の屍がある。服装は軍服みたいなのもいれば、何かの作業着みたいなのや、スーツみたいなのを着ているのもいる。死角にあるものも含めたらもっとあるかもしれない。もう骸骨のバーゲンセール状態だ。まったくうれしくないが。
「じゃあまあ……合掌しますか」
「はーい」
1人1人にやらなくてもいいと思うので、部屋に入る前に合掌をする。
例のごとくを終えると、この部屋がどんなものなのかを見始めた。周りは他と同じようにコンクリート製みたいだが、壁には市長室で見た国旗や市の旗みたいなの奴や、地図なんかが張り付けられている。中央には大きい机があり、周辺にも無線機みたいのとかが置いてある。
「この部屋は……なんか、本部というか……地下に作った指令室というか……うーん」
なんだか何かの指令室、とでもいうべきような感じだ。壁には地図が張られていたり無線機みたいのがおいてあったり、様々な資料みたいなのがおかれたりと、軍隊とかが使っている作戦指揮のための部屋みたいな雰囲気だ。
「いざというときはここに引きこもって地上の指揮をしていたのかな……」
地下に作られているのだから、多分そうなんだろう。確かに役所の機能が止まったりしたら色々と混乱が起きそうだし。
と、部屋を見ていると、あるものに目が留まった。壁に貼り付けられている地図だ。
「この地図は……」
「この大陸の地図、だね」
「そうみたいだね……あれ、知ってたの?」
「うん。ずっと前だけど、お父さんと一緒に見たことあるから」
地図の一番上の方にはボスリャニア大陸地図と書かれ、その下の大陸にはいくつかの点線が書かれている。恐らく国境線だろう。その点線で区分けされているところに国名も書かれていた。
「諸侯同盟……自由帝国……合衆国……色々と国があるな」
オーストリアみたいな横に長い大陸には、見たところ全部で7の国があるみたいだ。
パンゲア大陸みたいにこの星に1つの大陸しかないみたいでなければ、この地図は世界のうちの大陸のみを写したものだろう。
「今いるところは諸侯同盟っていう国のはずだよ」
「ほう。大陸の真ん中上あたりの国か……」
真ん中だとか上だとかいう表現を使うのが好ましいのかはわからないが、少なくともこの地図を見る限りそういうのが正しいだろう。周りには公国、王国、合衆国、自由帝国と書かれている国に囲まれており、国土は王国、公国よりは大きさみたいだが、合衆国と自由帝国が圧倒的に大きいみたいで、それの前だとこの3か国とも小さく見える。
50年たったということで色々と劣化しているところもあるが、この地図は案外貴重なものなのかもしれない。そう思い、なんとなく写真を撮ってみる。カシャ、というシャッター音が辺りに響き渡った。
「何しているの?」
「写真を撮ったんだよ、ほら」
そういいながら今撮った大陸の地図の写真を見せる。スマホの液晶にはフルカラー、フルHD画質の写真が画面いっぱいに表示されている。
「ええ、すごい! こんなに綺麗に……ねえねえ、私の姿とかもとれる?」
「とれるよ。あーでもここ雰囲気悪めだから後でね」
「分かった、なんか楽しみだなー」
彼女は写真に写ると魂を取られるから撮らないで、なんてことは思っておらず写真を撮られるのを楽しみにしているみたいだ。この世界にもカメラはあると思うのだが、恐らくこの世界のどのカメラよりも今持っているスマホのカメラの方がずっと高性能だろう。
そんなカメラに自分の姿を取ってもらえるというのに嬉しがるというのは分からなくもない。
まあそんなことは置いといて、俺たちは部屋の中の探索をつづけた。
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感想、評価等していただけると嬉しいです。
あと、短編小説書いてみました。興味のある方はそちらも見ていただけると嬉しいです。
ゲーム禁止法案が成立した独立国家カガワから主人公がトクシマに亡命するだけの物語
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