第49話『賢者の石と錬金術師の始祖』
《レイは優しいですね。あと、リルルは職業変更でレベルが1に戻りますので、レイはもう一度、彼女を鍛え直してあげてくださいね》
「レベル1からか……。第10階層のヒュドラ狩りまくって最高品質の
それにしても金貨1000枚か。
ざっくり1億円。大きなお金だ。
せっかくためたお金が一瞬で吹き飛ぶな。
1億円もあれば(築50年3LDKの中古物件なら)田園調布に家が立つ金額だ。
リルルも喜んでいるから1億円の価値はあるのだろう。
お金はまた稼げば良いだけだ。
俺はアイテムボックスから取り出した金貨1000枚
入った袋を、
「はい。きっちり金貨1000枚です。念のため確認して下さい」
俺は石の前に金貨袋を置いたらそのまま消滅した。
おそらく
《リルルさんの幸せそうな寝顔を見ていたら、本音を言うと私としては無償にしてあげたい気持ちも湧いてきたのですが、等価交換は原則ですからね。私を創造した錬金術師が至った真理です。その価値観を私が無下にするわけにはいかないのですよ》
「へー。
《はい。この世界で初めて
「なるほど。
《いえ……。
「そうだったんですね」
《私としては、錬金術師のレイさんにも超位職業を授けたいのですがそれは不可能なのです。何故なら私を創造した存在が最後にたどり着いた超位職こそ"錬金術師"でしたので。期待はずれだったら、申し訳ございません》
「ははっ、いいですよ。別に錬金術師でも特に困ってないですし、この部屋に来られたのも超位職を目指してではなく、本当に偶然のことでしたので。王都の街中に錬金術師があふれているので実感なかったんですが、昔は凄い職業だったんですね」
《私は千年近くの間、始祖と同じように自らの力で錬金術師に至れる者の存在を待っていました。ですが、長い歳月を経ても、私の前にそのような存在が現れることはありませんでした》
「なるほど。だから、数十年前に突如として"錬金術師"が一般職として王都の民に解放されるような自体が起こったわけですね」
《ご明察のとおりです。私は自らの手で錬金術師となるものがあらわれる可能性は諦め、代わりに苦肉の策として"錬金術師"の職業を一般職として解放することで、"
「やりたい事は理解しました。ですが、
《……千年の時を経て私のダンジョン・コアとしてのエネルギーが枯渇しかけているのです。私が消滅することについて、私がおもうところはありません。ただ……》
「どうしたのですか?」
《私が、ダンジョン・コアとしてこの王都にもたらしていた加護や祝福なども私が消滅します。そうなれば徐々にこの王都に活力が失われていくことでしょう。だから私は求めたのです、消滅した私の代わりとなる新しい
「凄いですね。
《私にできることは、些細なことです。王都への直接的な干渉はできません。できるのは、土壌に活力を与えたり、水を清らかにする……そのような些細なものばかりです。あとは、王都外のモンスターの侵入を防ぐために微弱な結界も展開していたりします。どれも、あくまでも微弱な物なので人に知覚されるようなレベルではなかったのですが》
「なるほど。それなら一つ方法があるのですが、他の
《はい。自我を持ったダンジョン・コアは私のみです。私が自律的な思考を持たされたのは王都の守護を臨機応変に対応することが可能なようにするためです。通常の
前世でいうところの原子力エネルギーのようなものか。
それ自体には善も悪もなくエネルギーを生みだす塊に過ぎないと。
「おーけー! 俺は知っての通り、錬金術師としての技術は平凡そのものだ。だけど、俺にしかできないことがある。その力を使えば、
《そのような方法が……。いえ、あなたを信じましょう》
「それじゃあ遠回りの質問はなしで、直接的な質問をさせてもらおう。この王都の近郊でダークエルフや、盗賊、違法な人買い等々、要するに悪人が占拠しているダンジョンの場所を5つほど教えてくれるか」
《私が混沌の軍勢に支配されているダンジョンの情報を提供することは可能です。ですが、その情報でレイ、あなたは何をしようというのでしょうか?》
「その悪党どもが占拠している
《モンスターの多い地域です。それなりの危険がともないますよ》
「大丈夫です。俺とリルルなら、それくらいの逆境はなんとかしてみせます! それじゃあ、俺たちが戻ってくるまでしばらく待っていてください!」
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