第29話『大災厄討伐の戦利品で楽しもう!』
一連の騒動のあと、俺とリルルは元の宿屋に戻った。
獲得したアイテムの確認のためにリルルは俺の部屋に居る。
さてさて、戦利品のチェックだ。
やっぱこれが冒険者の醍醐味だよな!
まずはクトゥルー・クラーケ本体が落とした、
レアドロップアイテムの確認から始めよう。
“千年の大災厄”というくらいだから期待しているぞ。
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邪神の瞳【破壊・譲渡不可】
解説:視力を劇的に向上させる消費型アイテム。
世界に一つだけのユニークアイテム。
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「……なんですかね? 目がよくなるそうですよ?」
「俺は弱めの乱視持ちだからちょっと使ってみたいかも」
まあ、視力がよくなることで乱視が治るかは微妙なところだが。
それに疲れ目の時以外は気にならない程度の弱い乱視だからなぁ。
「ダメもとで試しに飲んでみたらどうですか? 目が良くなるかもです」
「良いのか? アイツを倒したのはリルルなのに俺が飲んでも?」
「レイの視力が良くなるのは、あたしにとっても嬉しいことなのですよ」
嬉しいことを言ってくれる。
泣けるぜ。
限界突破厨の俺は本当のところ6個集めて合成したかった。
☆付けた方がはるかに効果強くなるからな。
だけど残念ながらこのアイテムは【世界に一つのユニークアイテム】だ。
限界突破のために合成することはできない。
更に言うならば、譲渡不可だから売却もできない。
もったいぶる必要も無いから早めに使っちゃおうか。
なんかこの【邪神の瞳】は目玉を飲むみたいで、
気持ち的にはちょっとアレな気分はする。
それにマグロの目玉とか好んで食べていた人もいたからな。
俺がタコの目玉を食べても問題はあるまい。
それじゃ一息にごくり。
「どうですか?」
「おおっ……これは……凄い! 世界が変わるっ!!」
何と言えば良いかな?
フルHDテレビが4Kテレビに進化したくらいに世界が綺麗に見える。
意外にショボい、とか言わないで欲しい。
4Kは凄い。4Kは凄いぞっ!
この4K対応の俺の目ならリルルの金色の細い髪の
毛がかすかな風で揺れる、その繊細な質感を楽しめる。
もうこれって実質ムービーシーン。
最高じゃん!
うむ。能力を試すために……リルルの瞳の中も覗いて見よう。
人力での虹彩認証だ。
うわあ……ひえぇ。美しすぎる……。
やはりリルルの瞳はまるで宝石のように綺麗だ。
ついに来た、我が家にも4Kの時代が到来した!
凄い……もうフルHDの世界には戻れないよ。
顔の肌も……うん。えろい。さすがは4K……。
肌は色白でまるで絹のように艷やかだ。
ああ、触ってみたい。撫でてみたい。
更には若さによるハリのようなものも感じる。
みずみずしいもち肌と言いますか。
ほっぺたを突いたらどんな感じだろうか?
うーん。
あっ……思わず指でほっぺを突いてしまった。
「……レイさん、私のほっぺになにかありましたか?」
「断りもなく、すまなかった。リルルの顔に蚊が止まっていてな」
「気づきませんでした、どうもありがとうございますっ!」
おっと、薄っすら顔の色が桜色に変わってきたぞ……凄いな。
やっぱり時代はフルHDじゃなくて4Kですよ!
凄いぞ【邪神の瞳】、さすがは千年の大災厄!
「レイ、あまりジッと顔を見つめられると恥ずかしいです。見つめられること自体はイヤではないのですが……ちょっとだけ、なんか照れちゃいますっ」
「すまない。新しい邪眼の調整がうまくいかずに、無神経にもリルルの顔を見つめてしまっていたようだ。これはこの瞳の……副作用なのかもしれない。……くっ」
「……っそ、そうだったのですか。あたしこそ無神経なこと言ってすみません!」
「気にするな……既にこの"邪眼"の力は完璧に俺の制御下に置いた。大丈夫だ」
「すごいですっ! もう邪眼を完全に制御したのですね!」
もともとそんな設定はこのアイテムにはないけどな。
文字通り視力が劇的によくなるだけだったぞ。
名前のわりに副作用なかったな。
普通に便利な消費アイテムでしたな。
いや~それにしても良い目を手に入れられた。
乱視とかも治ったし、世界が……リルルがより美しく見られるようになった。
千年の大災厄と言うだけあって良いアイテムを落としてくれたな。
やっぱ千年の大災厄は凄い!
リルルの服装とかのコーディネートをするときに、
細かな所にもこだわれるから最高や。
この瞳を与えてくれた神に感謝だ。
4K……素晴らしい時代の幕開けだ。
「それでは、リルル。もう一つの方の検証も行おう」
「リヴァイアサンの方のアイテムでしたね」
「そうだ」
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海神龍の革
解説:全状態異常と全属性攻撃に耐性を持つ
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「うーん。取りあえず、合成してみよう」
「そうですね」
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海神龍の革☆
解説:全状態異常・全属性攻撃に非常に強い耐性を持つ
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「おお……。これならいい感じだな!」
「これはとても良い素材ですねっ! 良い装備が作れそうですっ!」
「せっかくだから、この素材でリルルの靴と服を作ってもらいにいかないか?」
俺好みの服を作ってもらうためにもな!
俺の脳内の型紙には理想の服のイメージは作成済みだ。
「レイさんは必要ないのですか?」
俺の服に過度に良い物は不要だ。一言で言うなら、お金の無駄だ。
本音を言うなら俺の服に無駄金を使いたくない。
不死王のマント(唐草色染色バージョン)も渋くてカッコいいしな。
それに、オーダーメードの服は鍛冶師の料金のように
どうせ法外な料金を請求されるに決まっている。
「リルル、俺には"新月の盾"、"満月の盾"があるからそういった装備は不要だ。俺の小盾は耐性という次元ではなく"魔力を消滅させる"とか"物理完全無効化"という上位の効果を持つ装備だからな」
しかも運依存だから確実に成功するからな。
なにせ俺の能力値は【運:110】だからな。
この世界にもさすがに俺以外にはいないだろう。
まあ、1人~2人居たところで特に問題は無いけどな。
その程度の人数が居ても商売敵にはなるまい。
あんま増えると儲けが減るから真剣に困るけど……。
「リルルの新しい冒険服の方向性について話し合いたいのだが良いか? その前にのどが渇いただろ。回復薬を飲むと良い」
俺は回復薬☆を渡す。
俺の錬金術師の能力で爽やかな柑橘系の味を加えた新味だ。
なお、特に回復効果には変わりはないぞ。
「ありがとうございます。美味しいですっ! はいっ、ぜひお話ししましょう!」
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