第30話『リルルと至高の服と靴を考えよう!』
「リルルの新しい服はどんな感じの物がいいだろう?」
「動きやすい冒険者風の服が良いと思います」
「なるほど。真面目なリルルらしい回答。その方針で行こう。今回は職人に型紙から作ってもらう世界に一つの一点物のオートクチュールだ」
「世界で一つのオリジナルの服ってわくわくしますねっ!」
「そうだな。お店で売っているのと違って、完全に自分の体を採寸した服を作ってくれるからとても着やすいという話だ。きっと今までよりも冒険が楽になると思うぞ」
オーダーメードの服なんて持ってないから分からないけど、
太ったらオーダーメードの意味無いんじゃないかな?
それとも意識が高いから太らないのか? 謎だ。
「まずは"海神龍の革☆"で作る服の方向性を決めて行こう」
「わかりました! 服を作るのは夢だったので楽しみです」
実際に服を作るのではなく、職人さんに作ってもらうわけだが、
リルルにとっては同じことなのかもしれないな。
「まず服の色についてなのだが、俺は瞳の色と同じ薄緑色、エメラルド色をベースに、ポイントポイントに白色を入れるようなデザインはどうだろうか?」
「はい。綺麗です。素材の色合いも活かせますので良いと思います」
「次の議題だが、ホットパンツ型と、ミニスカート型はどっちが良いだろうか?」
ホットパンツ型が好きです。
太ももに肉が少し食い込む感じが好きです。
だから、お願いします!
「そうですね。どちらも素敵ですが、一般的なミニスカート型が良いかもです」
「なるほど。一理あるな。だが、ミニスカートより……ホットパンツ型のほうが、より防御力が高い特徴がある。ポケットも付けられる。小物を入れられるポケットは何かと便利だ」
ホットパンツ! ホットパンツ! ホットパンツ!
俺はいま猛烈にホットパンツな気分なのだ。
「防御力でしたか、すみません。服のデザインを考えるのが楽しくなって性能よりもデザインを重視してしまいました……恥ずかしいです」
「いいのだ。気にするな。女性が身だしなみを気にすることは当然だ」
いけるぞ! ホットパンツ! 最高や。……いやちょっと待て、
ミニスカート型だとハプニング的にパンツが見える可能性もある。
うっかり見える白いパンツ……もしかして大人びた黒かもしれない。
そういったハプニングを楽しむのも良かったんじゃないのか?
いや――俺は、偶然よりも確実を好む男。
偶然落ちてきたりんごの木の実を待つのではなく、
俺は常に楽しめるホットパンツの太ももの食い込みを楽しみたい。
そして、おしりの造形を楽しみたい!!
迷うな、俺はホットパンツを愛する男、レイ。
「イメージは大体できた。何かワンポイント・アクセントがあるとより良いかもな」
「そうですね。コボルトダガーのようなワンちゃんの刺繍をさり気なくあると楽しいかもですね。目立たないところにこっそり小さく入れてくれると素敵ですね!」
舞浜駅近くのテーマパークにある隠れミ○○ー的なアレか。
まあ……○ィ○○ーに行った事は無いから詳しくはないのだが。
思わず伏せ字が多くなった気がするが、気のせいだ。
「ふむ。さっそく、服のイメージを描いてみた。ちょっと見てくれるか?」
俺は白紙にラフスケッチをしていた服のイメージをリルルに見せる。
こういうのを作るのは比較的得意である。
「うわぁ!! とってもかわいいですっ!!! レイは美術の天才です!!!!」
やっぱり反応は普通の女の子だなぁ。年相応の反応が嬉しいね。
本人からは自分では口に出さなかったけど、やっぱり服とか好きなのだろう。
俺も少しは気にしてあげるようにしないとな。
職人さんには気合を入れて作ってもらいたいな。
「あとは、"海神龍の革☆"で新しい靴を作ろうとおもっている」
「あたしの靴までですかっ?! 良いのですか?!!」
「フッ……気にするな。全ては冒険に必要な装備だ」
「レイは、真剣に冒険を頑張っています! あたしもみならいます!!」
「靴の件だが、前回の大ボスの眼球、つまり魔核を破壊した時に"冒険者の靴☆"が破損した。そろそろテコ入れが必要かなと考えている」
リルルは少し申し訳無さそうに答える。
「あたしは速さに頼った戦い方になるので、靴が最も先に痛んじゃうのですよね。すぐに擦り切れてしまって困っているところです」
「気にするな。今度の靴は長く履き続けられるような物を作ろう」
リルルは気にしているが、冒険者の靴☆は銀貨数枚で作れる。
毎回使い捨てにしても問題無い。
一方で、魔導学院のローファー☆が壊れた時は少し落ち込んだ。
あれは6足で金貨18枚もしたからな。
180万円やぞ? そんな靴……あるか?
実はあるらしい。ドバイで19億円とかする靴が売っているそうだ。
あとNI○EのAir Magとか言うスニーカーが450万円するらしい。
パッと見た感じは灰色のスニーカーなの450万円とはな。
世の中意味が分からない。
少なくとも団地暮らしの中学生時代に、かーちゃんがジャスコで嬉々としてAir ○axのパチモノを本物と勘違いしてテンション高めで誕生日プレゼントとして買ってきたのを履いてきた俺のような人間には一生わからないかもしれない。
なお、ジャスコは2011年に国内からは消滅しており、特に伏せ字にしなくても大丈夫らしい。実際、図書館に置いてあるラノベに"ジャスコ"と堂々とタイトルに入ったラノベが有ったし問題無いだろう。
それにしても、魔導学院の学生服やローファーの高さには呆れる。
値段のわりに脆いしボッタクリだ。悪徳商法だ。
まあ……俺はリルルの学生服姿見るのが好きだから買うけどなっ!
別腹です。悪徳商法に屈っせざる負えない!
本人も学校に行く時に学生服に着替えるの楽しみにしているみたいだしな。
楽しみも無ければ何のために金を稼いでいるんだっていう話にもなる。
……いや、家を買うという目標はあったな。忘れかけていたが。
家は買った後も毎年莫大な税金を支払わなきゃいけないようなのだ。
そのせいで購入のモチベーションが落ちているのはナイショだ。
そう言えば、今思いだしたことがある。
俺がAir ○axのパチモノを学校の下駄箱に入れていたら、
AIRソール部分に針を刺されて悲しい気分になったんだよな。
瞬間接着剤で穴は埋めたけどな。泣きたくなった。
俺のAir ○axのAirソールに針を刺した人は絶対に許さない。
針を刺した人は手をあげなさい。
いかんいかん。心が
無念に散っていたジャスコの怨霊に、
取り憑かれていたのかもしれない。
「リルルが履きたい具体的な靴のイメージとかはあるのか?」
「スネの部分まで保護できるエンジニアブーツとかだと嬉しいですっ」
冒険者が好む一般的な長いブーツみたいな靴だな。
俺も愛用しているのだが、靴ヒモ結ぶところが多くて大変なんだよな。
「ブーツの方が走りやすそうだが、丈の長いエンジニアブーツの方が良いのか?」
「そうですね。ブーツの方が確かに走りやすいのですが、毒の沼地や汚泥のはねっ返りが怖かったりもします。少し丈が長めの方が安全して履けますかねっ」
「なるほど。そして丈の長いブーツのトップ部分からちらりと覗き見えるニーハイソックスによってスカートと太もものあたりの絶対領域がより魅力を引き立てると」
おっと……。心の声を言葉に出してしまった。
「えっと。"絶対領域"の意味は分かりませんが、多分おっしゃる通りかなと。さすがは博識なレイです!」
「すまない。うっかり古代ルーン語が出てしまった。"絶対領域"、つまり"絶対的な護りを誇る鉄壁の防御"という意味だ」
「勉強になります」
「他に何か希望はあるか?」
「そうですね。靴にも魔力を込めることができれば、戦闘面でより貢献できるようになると思うので、魔力伝導力の高い靴だと助かりますね」
「よし。それじゃあ、これで服と靴の方向性は決まったな。それじゃあ。その案を持ち込みに行こうか。楽しみだな、リルル!」
「はいっ! すごーく楽しみです!」
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