第4話 地獄の序章

次の精神科も大学の相談員に教えていただいた病院だった。

相変わらず東京の病院は狭いなぁ。

暗いビルの中にその精神科はあった。そこで出会ったのがツンケンしたおばさん先生。特にアドバイスも無く、淡々と薬を出すだけだったと覚えている。


診察が終わり薬を受け取り、病院の帰り道。ふと見上げると黒いどんよりした雲が私の心をを締め付けた。

あー。何で生きているんだろ。

頭が働かない。考える事はじぶんの息を止める事ばかり。

助けて欲しくて精神科に行っているのに、後ろ向きな感情しか出てこなかった。


プツン。

急に嫌気がさした。

母が駅で切符を買っている隙に、私はSuicaで逃げた。

「行かないで!!!その子止めて!!!」

Y駅で私が飛び降りるとでも思ったのだろう。母は悲鳴の様な声を荒げ、改札で私を止めた。切符の自販機が鳴って、周りの人も何が起きたか分からず驚いている。あんなに大金を自販機にそのままにして私を助けて・・。バカなお母さん。


結局私はホームで母にすぐ捕まり、一緒に帰宅することにした。

私はホームで何度も飛び降りるフリをしたり、帰りの電車の中でも爪が手に食い込むくらい強く握り母に見せ、止めさせる母の不安そうな反応を楽しんでいた。

もう思考回路が完全に狂っていた。生きていたくない。誰も信じられない。この心も体も大嫌い。

私なんて、、大嫌いだ。



「私の大学の先輩であなたの家の近くで院長しているから、そこの病院に紹介状を書いてあげますよ。」

2回目の診察でそう言われた私達。

あれだけ母が探したのにまだ行ってない精神科があったのか。こんなにすんなり精神科で診てもらえる事に母と私は目を合わせ呆気に取られた。

だがその日は少しホッとして帰宅出来た。家の近くならすぐ行けていいな。きっと助けてくれるだろう。そんな甘い気持ちで一杯になった。


そんな紹介されたのが、地元のI病院。忘れたくても忘れられないI病院。


私の本当の地獄の始まりだった。。。

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