第2話 初体験
涙 涙 涙が止まらないのだ。
朝も泣き、昼間家で1人の時も泣き、夜も隠れて泣き。
何でこんなに涙が出るんだろうってくらい溢れてくる。
就職への焦りと精神的な苦痛で壊れた私。
そんな日が何日か経った。相変わらず涙は枯れない。
しかし今日はいつもと違う事が起きた。
玄関のドアがバタンと勢いよく閉まる。
仕事に行った母が1時間足らずで家に戻ってきた。
小走りで母が私に近寄り、
「病院行こう!精神科。車で連れて行くから。」
その言葉を聞いた時、あ、やっと救われるなと思った。ずっと言って貰いたかった言葉が母の口から出たんだなと思った。
どうやら後で聞いたら会社の人に私の話をして、病院を勧められたらしい。父は精神科というものが嫌いなので行かせたくはなかったが、今の私を見てやはり連れて行くことにしたらしい。
急いで車に乗り込み精神科を探す母。私は後ろの座席にすわり顔をタオルで覆い泣いていた。
「泣きたいだけ泣きなさい。泣いていいから。」
母はそう言い、精神科を探す。
私はこの言葉に余計涙が出た。
精神科は予約制な事もあり、何ヶ月も予約で埋まっていると言われた。まぁ確かに最近うつ病って言葉よく聞くようになったしな。皆病んでるんだなぁ。
母は何軒も病院を探しては断られていた。しかし母は諦めなかった。
「確かこっちにもM病院っていう精神科があるはずだから。そっちも行ってみよう。」
家から車で40分くらいの場所に精神科があるらしい。だがなかなか見つからない。何度も道を間違えバックしては探す母。私はその姿が嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
なんとかM病院を見つけた。母はまた診察してもらえるように頼み込んでいた。
「予約制なのは分かっていますが、どうしても娘が心配なんです。お願いします!」
受付で頼み込む母。受付の女性が奥の男性と話をして返答が得らた。
「話だけなら聞けますよ。何かアドバイス出来るかもしれないし。」
そう言い、カウンセラーが出てきて部屋に案内された。
やったあ!やっと話せる。
カウンセラーが通した部屋には沢山の人形と砂の入った箱があった。これは一体何をする物なんだろうか。私は不思議そうに見つめ、下を向いた。
男性が怖いというのもあった。男性のカウンセラーと目が合わせられない。大学の先生が男性だったからか、男性恐怖症のようになった。
「どうしたのですか?何が原因で泣いているのですか?」
「・・・就活がうまくいかなくて、大学に相談したら先生に酷い事を言われて、、。」
カウンセラーが私に色々質問をしてくる。私は小さな声で全ての問いに答えた。
「今、どんな気分ですか?」
「死にたい気持ちです。消えたいと思う。」
・
・
・
「たぶんあなたはうつ病だと思いますよ。」
うつ病。
ああ、やっぱりそれなんだ。
今流行りのうつ病。。。
大学に相談室があるから、そこで東京の病院を探してみるのもいいかもしれないとアドバイスを貰い話は終わった。
「ありがとうございました。」
「話を聞いてあげるだけしかできなくてすみません。」
「いえ、助かりました。ありがとうございます。」
カウンセラーに深々とお辞儀をされ、私もそれを返した。
朝から精神科を探して夕方、やっと話だけでも聞いてもらえた。
そして母が私のために頑張ってくれた。それだけで少し救われた気持ちになり、心が暖かくなった。
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