Chapter 4 出会い -encounter-



日に日に使えるものが減っていく。ものを手に入れることのできる場所も減っていく。


近所で奇病が発生したという噂も聞こえるようになってきた。


不安だった。いつか自分も奇病にかかるのか。みんなと離れ離れになるんじゃないのか。


奇病そのものよりも、また一人になることが僕には何よりの恐怖だった。


mutterや掲示板では、本当なのかもわからない不気味な情報もたくさん流れている。


眠れない日が続いていた。


そんな時、近所を歩くことが僕の日課になっていた。


ある夜、僕はある学校の近くにある一期一会橋で一人の青年と出会った。


「俺に近づかないほうがいい」


人を寄せ付けない雰囲気を放つ彼は、融合病だった。


彼は自分が奇病だと知られることで、周りの人たちを混乱させないために、あえて夜に行動することを選んでいた。


天使症以外で、奇病を患った人を見たのは、彼が初めてだった。


でも、彼に対して嫌悪感は感じなかった。


むしろ、そんな考えができる人を嫌いになる人なんているだろうか。


きっとたくさん辛い目にあってきただろう。想像でしかないが、奇病を抱えて生きることは平たんな道ではないと思う。


間近で障害を持って生きる子供たちを見ている僕には、そう思えてならなかった。


奇病に対しても、障害に対しても、強い偏見を持っている人は世間に大勢いる。


しかし、そうした偏見に正しいものなんて一つもない。


僕が出会った青年もその生きた証明だと思う。


極端な表現かもしれないが、僕は自分を「普通の人間」と思っているより、彼らのような人こそずっと人間らしいと思う。


不安な気持ちを抱えてさまよう僕を彼は励ましてくれた。


彼とはもう一度会うことになるのだが、それは別の機会に譲ろう。


確かに言えることは、僕の本当の終局は、彼との出会いから始まったのだ。


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