Chapter 3 決意 -Determination-


母が死んで、ショックがなかったわけじゃない。


僕にとって、この20年、母は唯一の肉親だった。


僕を見捨てずに、見守り続けてきてくれたただ一人の人だった。


でも、そんな母を目の前で殺されても、僕は何もできなかった。


目の前で無残な姿になった母を前に、ただ立ち尽くすだけだった。


あっという間に葬儀は済んだ。


母の死で空いた心の隙間を埋めるように、そして、社会の崩壊から目を背けるように、僕はグリーンウッドでの仕事に没頭した。


社会が壊れていく中でも、子供たちを施設に預けて仕事に行く親たちはいた。


子供たちの居場所はここしかない。僕のいるべき場所はここであり、子供たちの居場所を守ることこそ僕の使命なんだ。


でも、グリーンウッドの経営は、かなりひどい状態だった。


たぶん、このまま何もなくても近いうちに潰れるだろう。だけど、2月1日までは……


本当に世界が終わるなら、それまでは。

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