Chaper 2 それがはじまりだった -That was the beginning-
2019年9月6日。世界終局宣言。
何が起きているのか、理解できなかった。
世界が終わる。テレビや映画の話でしかないとずっと思っていた。
どこかで救いを期待していた。何か強い力が働いて、そんなものを打ち消してくれると。
でも、そんな思いとは裏腹に、心の中で、声が聞こえた気がした。
―――ヒーローなんていはしない。世界は終わりだ。
その声の言葉を証明するかのように、世界は壊れていった。静かに、しかし、確実に。
あちこちで報告される奇病の発症。ハピネス症候群、融合病、反転病、蘇生病…そして、天使化症候群。
グリーンウッドからもドンドンと人が消えていった。
社長が消え、先輩たちも消え、子供たちも。
気が付いたときに、施設に残っていたのは僕を含めた3人の先生と6人の子供たちだけだった。
消えた人たちに何が起きたのかはわからない。奇病なのか、それ以外の何かなのか。
そんなことで心を痛めている間は、まだ奇病は僕にとって対岸の火事だった。
母が、20年前に離婚し、天使化症候群を発症した父によって目の前で殺されるその日までは。
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