Final Chapter だって、僕は -Because i…-



博士から僕らに提示された選択肢は二つ。


肉体を捨てて電脳世界NOAに逃れ、終局を回避するか。


それとも、滅びゆくこの世界で、終局を受け入れて眠りにつくか。


クミちゃんのことを思うなら、彼女の手を無理にでも引いてNOAに行くのが正解なんだろう。


でも、NOAに御子神さんはいない。


御子神さんがいるのは、この世界だ。僕も、彼女のいない世界にいきたくはない。


「僕は―――ここに残ります」


クミちゃんを一人になんてできない。この子をおいて、NOAになんていけない。


だから答えは一つ。


僕の助けを一人でも必要としている子がいる限り、僕はその子の見捨てはしない。


それが、僕の仕事なんだ。だって、僕は「ウサギ先生」だから。


僕は宇佐義彦。ひとは僕のことを「ウサギ」と呼ぶ。


昔、僕はこのあだ名が嫌いだった。


でも、今このあだ名は僕の誇りだ。


心の奥で泣いていた小さなウサギは、もういなくなっていた。

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