第4話 生の神と死の神

『まずは、2柱の神について話をしようか』

弁財天さまが、真剣な表情で生の神と死の神の話を始めた。


生の神を天照大御神アマテラスオオミカミといい、死の神はタナトスというらしい。


ー天照大御神ー

日本神話では

イザナギミコトの子供として生まれた。

兄弟に、月読命ツクヨミノミコト建速須佐之男命タケハヤスサノオノミコトがいる。

通称ツクヨミとスサノオだ。

神話的には、イザナギが禊ぎのため瀬の中へ入り左目を洗った時にアマテラスが生まれ、右目を洗った時にツクヨミが生まれ、鼻を洗った時にスサノオが生まれたと言われている。


アマテラスは天皇の祖神とも言われている。


ータナトスー

ギリシャ神話では

性格は稀薄だったとの事、鉄の心臓と青銅の心とも言われ非情ともとれる神だった。

夜の神ニュクスの子供が死の神タナトスと呼ばれ、兄弟が眠りの神ヒュプノスがいる。

タナトスの仕事は、人間の寿命が尽きたときにおもむき魂を刈り取り冥界の王ハーデスへ運ぶとされる。

死神の元になっている神だ。


弁財天さまがいうには、アマテラスは人間の魂を10回、転生させる。記憶は消さずに…

11回目で記憶を全て消し去り、動物へと転生させるという。

記憶がそのまま10回も転生させるとどうなるのかというと

魂の記憶にも容量があり、容量オーバーすると…

凶悪な犯罪者となり、人を殺す。

現世では、犯罪者として死刑宣告され死ぬ。

邪悪な心を持った魂は、タナトスへ引き渡され

転生させられた魂は、現世では逆に邪悪な心のものに無惨に殺され、その繰り返しを10回行い魂は冥界へ送られ永遠に閉じ込められる。

二柱の神は、その遊びを楽しんでいるという。

恐ろしい殺され方を10回もさせられるなんて、考えただけでも震えが止まらない。


だいたい、魂の記憶容量がオーバーするのは分かっているはずだ!

という事は、動物へ転生される前に邪悪な心となるのは明白だ。こんな事をして何が楽しいのか…

良く神々の遊びなんて事聞くが、遊ばれている人間の身にもなってくれと言いたい。


『そんな神がいるなんて…ショックだ。』

神へ絶対的な信頼の欠如とこの世界の輪廻の理不尽さにすっかり気を落としてしまった。もういい…


弁財天は、そんな大藪の姿を知ってか優しい口調で喋り始めた。

『うーん、そんな訳だからさ、無暗に神を信じ過ぎない事だよ。わかったね』

色々と考えていたら、イライラしてきた。何が神だ!輪廻だ!

『弁財天さま!その2柱の神に会うことは出来ないのですか?』

馬鹿な事とはわかっている。だが、その神たちに言いたい事がある。いくら神とは言え人間の命を弄んでいいのか!俺たちは、それでも必死に生きている!幸せを探して生きている!

『……。』

弁財天から出た言葉は、大藪が思ってるほど簡単な事ではなかった。

『大藪、神にも階級があるのは知ってるかい?神格というだけどね。アマテラスとタナトスは別物なのさ、階級とも違う。神を産みし存在…神生ゴッドバース

神を産みし存在?神が神を産む!?どういうことだ?

『不思議そうな顔しているな、実は私もアマテラスから誕生したのだ。だから、逆らう事も抵抗も会う事も許されない!残念だが諦めてくれ。』

なんて事だ!弁財天さまも会う事が出来ないなんて…こんな理不尽な世界を黙ってみているしかないのか。

黙って聞いていた支配人が、重い口を開いた。

『大藪くん気持ちはわかるが、この世界のことわりは変える事は出来ないし逆らう事も出来ない。』

そんな事、言われなくたって…

わかってはいる、わかっているがどうしても許せない!

支配人は、顔を横に振り

『でもね』

『確証は出来ないけど、必ずやキミは2柱の神に対峙するよ、きっとね。その時の為にも言いたい事と伝えたい事は考えておくんだよ。』

弁財天さまは、大きく目を開き支配人に言い放つ

『おい、小僧!なぜ、そんな事を言える!お前は何者だ?いつの間にか、親しくなっていたが…』

支配人は、無表情のまま喋った。

『僕は、都市伝説研究の屋敷支配人さ。それ以上でも以下でもない。大藪くんは神たちに会える気がしただけさ。』

『ふん、良くわからん奴め。もう失礼するぞ』

弁財天さまは、光と同時に一瞬にして消え去った。

『さて、大藪くん?僕達も戻ろうか』

俺は、何も言えなかった。色々な事がありすぎて、どれが真実なのか

さっきまでの、話は夢なのか現実なのか…

俺は、目を瞑った。


ーーーーーー


『もう、目を開けていいよ。』

目を開いたら、屋敷へ戻っていた。

『まぁ、なんだ……その、次の都市伝説を調べようか?』

静かに頷いた。

『ああ。』


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気がついたら、都市伝説好きな人に拉致ってマジ? にゃおん @TADAZO

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