第2話 井の頭恩賜公園の呪い・前

『ところで大藪くんは彼女はいるのかい?』

突然の質問に驚いてしまった。なぜなら一番気にしている事を言われたから……

俺は中学、高校と男子校だったが大学ではやっと…

彼女ができた

…が社会人になってからは、お互いの時間が合わず、すれ違いばかりあり別れてしまった。

それもそうだ、毎日残業で終電ギリギリで慌てて帰り、朝にはすぐに電車に乗る生活…

自分の事で精一杯で彼女のことは二の次、三の次になっていた。仕方ない事だと、今は思っている。

ど う す る 事 も 出 来 な か っ た


『あれ?聞いてはいけなかったかな?』

『あっ、いや昔の事を思い出しただけだから大丈夫!今は、彼女はいないよ。』

『居ないならいいんだ。これから調べる都市伝説は男女関係の話だからね。』

『大藪くんは井の頭恩賜公園の呪いは聞いた事があるかい?』

『井の頭公園の事?昔に彼女と行ったけど…』

『そ、そうなのかい!?実は、その呪いっていうのがね……』

呪いの話はどうやら

井の頭恩賜公園、通称:井の頭公園では池にあるボートにカップルで乗ると別れるという都市伝説があるようだ。実は、俺も乗ってしまっている。だからといって、その呪いで別れた訳ではないだろう。

必 然 さ 必 然 !


その呪いというのも、ただ別れるという簡単な話ものではなく女の神様である弁天様がカップルを見てヤキモチを焼いて別れさせるというものらしい。それが本当だったら、とんでもない神様だ。


弁天様、正式な名前は弁財天

知っている方も多いかと思うが、七福神の中にいる神様の一人だ。

※正確には、神様の数え単位は『柱』1柱、2柱など


琵琶を持っている神様で、ご利益は主に金運、財運で七福神の中で紅一点であるため縁結びや

恋 人 を 別 れ さ せ る

ご利益もあるらしい

さらに詳しく話してくれたが、元々は弁財天は七福神ではなかったらしい

毘沙門天の奥さんである吉祥天という女の神がいたが弁財天が毘沙門天を気に入っていまい、吉祥天を七福神から引きずり下ろした話があるようだ。

どちらにせよ、恐ろしい神様である。


『さぁ、まずは現場へ調査に行こうじゃないか!』

『えっ!?行く?どうやって?』

扉は無いし、大体どこにいるかも分からない。まさか!井の頭公園の近くにいるのか?

『そう質問責めしないでおくれよ。まずは、目を瞑って』

考えてもしょうがない。素直に従って目を瞑ろう。

そして、大藪は目を瞑った。


ーーーーーー

『もういいよ。目を開けて』

うん?鳥の声がする。しかも水が流れる音も…

大藪は、不安な気持ちを持ちつつ目を開けた。

『わぁ!』

年甲斐もなく、驚いた声をだしてしまった。

そこは、間違いなく井の頭公園だ。思い出したくないけど……

井の頭恩賜公園

東京都武蔵野市と三鷹市にまたがる大きい公園だ。

京王井の頭線の井の頭駅または中央線の吉祥寺駅から徒歩で行ける。どちらも歩いていけば直ぐに池が見えるだろう。

土日などは、家族連れとカップルで大賑わいだ!おすすめは、平日だろうか

ちなみに池で乗れるボートは3種類ありサイクルボート、スワンボート、ローボート

おそらく、カップルで乗るであろうボートは後者のローボートのはずだ。自分も乗った…


なんか、ここに来てから心が痛いだけなんだが…

まあ、思い出でに浸るのはこれくらいにして


『さて大藪くん、調査をしたい所だけど…今回の都市伝説のおさらいだ』


『えーと、井の頭恩賜公園の池のボートにカップル乗ると別れると噂され、原因は奉られている神様の弁財天さまがヤキモチを焼いて別れさせているって事で間違いないよな?』

『その通り!さすが経験者だね(笑)』

(笑)じゃねーよ!しかも経験者とか言うなよ。どんだけいじめれば気が済むんだ。

さすがに頭にきたので、睨みながら答えた。

『そうだよ、呪いにかかりましたよ。』

『じゃあ、実際にヤキモチを焼いているのか。本人に聞いてみようか?』

『本人!?本人って?弁財天さまに?』

やっぱり、都市伝説に囚われるとこうなるんだなぁと大藪は哀れみの目で支配人を見た。

『おーい、弁財天さん~』

『なんだい、また貴方ですか!?この暇人』

???

『えぇぇぇぇ~』


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