第33話 統合化
時は氷河時代。生命が凍り、文化文明が凍結した世界。
とある星では世の生まれ変わりと言われているこの大氷河期は、後先考えず一人の男の手によって、『起こされてしまった』事柄。
全て凍結してしまったこの世界は、滅亡では無く、時が止まったという方が正しいだろう。
一人の男は恐らく悪意は無かった。善意のつもりでやった。はず……しかし、抗えない運命ってあるもんだよなぁ……。そりゃあねぇ……? 太陽なんか落ちてきたらどうしようも無いもん。
という経緯で、この物語は唯一生き残っている一人の男。最上稟獰によって動き出す!!
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あー…やっちまった……いやぁ……太陽凍らせたら、固体化した事で重さが増し、更に落下速度が増して、地盤との衝突により氷が粉々に粉砕して、結果的に大氷河期迎えるとか、あの瞬間で考えられる訳ないでしょ。
んで、流石に太陽同等レベルの氷をモロにくらったマグマ野郎は綺麗な氷像化してるっていうね。
一人って寂しいなぁ……なんもする事ねぇわ……。
そういやマグマ野郎が現れた異世界ゲートってまだあるのかな……。
モワモワモワモワ……
あー……あの空に浮かんでるアレ……かなぁ? お? 中から誰かが……。
「うわあああああ!」
ボンッ!
雪の中に埋まった……ほほぉ……綺麗に大の字で型が出来てやがる……! こんなの漫画でしか見た事ねぇぞ……。
「ゔっ……関心してないで……た、助けて……」
「頑張れ! お前なら出来る! 諦めるな!」
「いや、ちょ……手くらい伸ばしてくれても……」
「手……? はい」
「あの、立ったまま手伸ばしても届く訳ないでしょ!?」
むむむ……コイツ……黒いフード被ってて顔は見えないが……女か……? 良し、生き埋めにするか。
「おーそうだったな! うん。しゃがんで手を伸ばす……」
ガサガサガサ……!
「いやいやいや! ちょ、手を止めろぉ! 埋まる埋まる!」
「んー、手じゃ時間かかるな。ちょっと待ってろ! 近くでスコップ探してくる!」
「おいいいい! 話を聞けええええ!!? ……行っちゃった……まずい……アイツに埋められるのは時間の問題か……あー! 統合化させる合図を出すという重要な任務が! 変な男に殺されて終わるなんてやだぁ!」
ふんふふん〜♪ スコップはどこだ〜
おー! 滅茶苦茶錆びてるけど使えなくは無いな!
・・・・・・・・・・・
「おーいスコップ持って来たぞ〜」
「あ……終わった……」
「よぉし行くぞー……どっせい!!」
「うわあああああ!?」
「うおおおおお!!? え!? スコップで思いっきり掘ったら女が掘り起こされたぁ!?」
…………違うな。
「え? ……え?」
「うぎゃああああ!!? コイツ……生きてやがる!? ………これも違うな……」
「あのー……なぁんだ……助けてくれるなら最初にそう言って下さいよー。てっきり生き埋めにされるかと思いましたよー」
「あら可愛い。どちら様でしょうか?」
「はぁ……もういいですから。では、えーっと……統合化ぁ!」
ブオオオン……!
は? え? 何? 急にコイツ角笛吹き始めたんだけど……
ブオオオン!(二回目)
なんだ! なんだ!? なにが来るんだぁあああ!?
ブッ……ブオオオン!!(三回目)
はぁはぁ、動悸がとまらねぇ! おおぉ!?
ブッ……ブシュー……オオン……(四回目)
うわああああ心臓が破裂しそうだああああ!
「…………は……早く来いよオオオオオオ!!!!」
ズズズズズズズズ……
お! なんか空の穴がでかくなって!? おいおいどこまでデカくなるんだああああ!?!?
異世界ゲートの穴が広がって1時間後、俺は何もする術が無くじゃなくて……なにもせずにじっとしていると、漸く世界が真っ暗闇に包まれる。
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謎の空間─────
とっても暗くて、すげぇ気持ち悪い……。まるで湿度MAXの部屋に放り込まれ感じでじめっては無いけど、とにかく嘔吐感が凄まじい。
と、少し吐いた所で頭の中に声が響く。
『ようこそ……我世界、ランブロスへ。これから君には新たな世界で新たな人生を歩んで貰う……』
ほう……高い声に若干低い声が混ざった乙女恋愛系爽やかボイス……ながら沢山の声が重複して聞こえる正に千差万別な声……コイツ。声だけで女落とせるんじゃね?
「へっ! 異世界転移だって? まさか異世界転生から転移するとはなぁ? 全く俺ったら災難だぜ!?」
『さて、俺の名前はカオス。創造神カオス。異神とも言われているが、気軽にカオスと呼べ。どうやら貴様は今の今までの世界でチートで暴れまわっていた様だな?』
「あぁ、そうだ! どんな設定をもぶっ壊せるチートは最高だったぜ! 生きてる心地しないけど……」
『そんなチートで暴れる貴様には恐らく刺激が足りず、きっと暇だったろう……だが今回の世界では暇がない事を俺が保証する。今までの世界とはこれまた一味違うからな』
……ってさっきからコイツなに録音した音声みたいに喋ってんだ? 俺の事を無視してペラペラと喋りやがって……。
「ちょっと待てぃ! さっきからお前なんなんだ! 俺の質問にも答えたらどうだ!?」
『あぁ、済まない。恐らく貴様は俺に何らかの質問をしているようだが、残念ながら今貴様がいる空間は俺の声しか聞こえない様になっている。だから黙って俺の話を聞け』
「んだとぉ? 早速不都合的展開の始まりかぁ!? そんなの俺には意味が無え! こんなものはぁ!
ジ……ジジジジ……
あれ? 何も無い? いやでも一瞬揺らいだよな?
『あぁ、すまない。この空間は貴様のぶっ壊れチートも効かない空間だ。その音は力が無効化されたサインだな』
聞こえてねーなら言いたい放題って事だな!
「死ねー! 死ねー! ぶっ殺してやる! クソ野郎がぁ! ぜってぇお前なんか超えて出会ったからにゃあ、一撃で吹っ飛ばしてやるからな!!??」
と、小学生の様な文句を言う俺だった。
『ふっ……全く今回は面白い事になりそうだ。では、特にこの世界の事に関しては貴様には不要だろう? とりあえず世界に飛んでもらう。では』
ゼュンッ……!
『ゼン』と『ユン』が組み合わさった発音みたいな感じで俺の意識は飛ぶ。まるでトースターから勢いよくパンが吹き飛び、せっかくいい感じに焼けたパンが砕ける様に……。
うん。あり得ない表現だな。いや、真空の力に吹っ飛ばせばあり得るかも?
キイイイィィン……!
うおおお! 頭がいてぇ! カチ割れる様だッッ! こんな時にガ○ターXが有ればぁ……!
…………ふぅ……。治ったわ……ってここ何処? 草原? 野原? いや砂漠だな。全面真っ白な砂漠! 暑く無えエエエエ! 全くここで俺のチートが適用されても困る! もし無効だったら……
『俺がたった場所は一面漂白剤みてぇな、すげぇ真っ白でぇ、俺の体を撫でる熱風は、あのーアレ……何たらの地獄的な? ……の様で、息を吸い込めば肺が燃える様に熱く、思わず俺は息を切らしながら膝を骨折する』
なんて言ったりするんだよなぁ? ちょっと表現間違ってると思うけどそこは俺のセンスね。多分意味不明の意味であくっち賞取れるね。確定だわ。
さて、俺の馬鹿みてぇなくそ描写は置いといて。あー確かにコレは少し違うね。普通転生あるあるっていうの?
飛ばされて決まってるのは……王様の前、近くの村の周辺、魔王城の中や赤ん坊として生まれてくるとか……しかし俺は砂漠のど真ん中かあああああ!!!
ひゃっほおおおう! 誰の目にとまらねぇ! 最高だぜええええ!!
「
ズズズズ!! スガアアアアン!!!
クックック……俺のチートは叫ぶだけで王国が作れる!! 誰も居ないけど!!
という訳でぶっ壊す〜。
えーっと……
『/fill -123 68 -456 -789 101 -101 air』
カチッ……
はい消えたー。別に爆弾で吹っ飛ばす必要無いよね!
ってコレ何の暗号だ……? まぁ、いいか!
とりあえず転移されたら近くの街目指すだろ! ハーッハッハッハ!!
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