第16話 正に冒険者
最上の現在の所持金:約160万E(エーデル)
いやぁGからFになっただけでこんだけ稼げるとは思っても無かったぜー。そういやこの世界の一軒家っていくらするんだろう……
まぁ、現実世界でも土地に1000万、家だけで数千万掛かるからなー。高校生の俺じゃあ目が眩む金額だぜぇ……
さて、今日も冒険者ギルドで功績上げるぞ!
「あ、最上さんいらっしゃい。聞いてください! 何と! 冒険者ギルド経営責任者から只ならぬ依頼の成果と世間の噂により、Eランク昇格の許可が降りました! 凄いですね!」
って言ってもまだEランクなんだよなぁ……。
「へぇ〜まぁ、これで漸くまともな依頼が出来るのかなー」
「そうですね。EランクはFランクと比べて『下っ端冒険者』と漸く冒険者として認められている訳ですから……それでは早速依頼が来てます! えっと……『人手不足なのでEランク以上の冒険者でパーティ募集中』だそうです!」
それ依頼じゃ無くて募集じゃね?
「それが依頼なの?」
「あはは……正確に言えば私のお勧め何ですが……一度パーティを組み、派遣冒険者みたいな活動をすれば更に貴方の名が広がると思いまして……」
「へぇ〜名を広めてなんか良い事あるの?」
「いえ、特に人気者になれるだけですが、仕事が減らない事は大きいですよ!」
なるほどね。誰もが知る名まで有名になる事で、俺の生活が楽しくなるって寸法だな!
その募集中パーティとは俺を最後の一人として、含めて六人パーティだった。
「やっと集まったー! 皆さん集まってくれてありがとうございます! とりあえず軽く自己紹介しますか……」
「へっ! まずは俺様からだな! つい昨日Eランクに昇格したんだけどよぉ、俺の所に何故か依頼が来ねえんだよな! だから丁度募集中のパーティに入ったって訳だ!」
依頼が全く来ねえって事はコイツよっぽど信頼されてねぇんだな……。
「えぇっと……次は僕ですかね……なんやかんやで今Aランク何ですが……回復魔法しか使えないと言うのに何故かSランク以上の方たちから良くパーティのお誘いが来るんですよね……でもやっぱり自信がないのでとりあえず低い所でちゃんとした評価を貰おうかと……」
自覚無しの最適ヒーラーだってか……それほど信頼されてるって事は、めっちゃ凄え回復魔法でも持ってんだろうな……。
「あ、俺基本ソロのSSSランクです……。なんか色々とパラメーターカンスト行って、やる事無いんすよね……。なので最低ランクのパーティでも入って遊ぼうかなと……」
うわぁ来たよ。ゲームチャット内では、めっちゃ優しそうなのにいざパーティ組むととんでもねえガチ勢って奴……。アレだろ? 超簡単な初心者ミッションなのにしっかり準備するやつ。
「ウィーッス……ステータス防御力に極振りしたんで、どうなるのかなーと思いつつ参加しましたぁ……因みにSSSランク」
あーゲームにそんな奴居たわ。とある一つのパラメータに特化した奴……。それに防御力特化って……こいつ戦闘に参加する気ねぇな……。
さて、俺の出番か……。包み隠さず言うかぁ……。
「えーっと今日Eランクに昇格した冒険者です。とりあえずなんやかんやで全ステータス最高限界突破して……やろうと思えばどんな事でも出来ます。ここで言っても仕方が無いので実戦で見て下さい」
この発言に対して、SSSランク冒険者も混ざっているせいか、騒めく様子は無かった……。
「では最後に僕ですね! 僕は、結構前からEランク冒険者何ですが、やっぱり討伐クエストだけじゃあ、昇格しないんですかね……それもパラメータもバランス型なので、一人では心許ないと思い、パーティを募集させていただきました」
コイツがやっぱり一番しっかりしてんなぁ……俺も含めてだが、このパーティ、全員おかしくね?
「それでは、自己紹介も終わった所だし、クエストを選びに行きましょう!」
「今から選ぶのかよ!」
「へ? はい……。まさかこんなに凄い人達が集まるなんて予想もしてなかったので高難易度クエストとか行きます?」
此処でSSSランクカンスト冒険者が提案する。
「なら、全員一気に強化する意味で、俺がお勧めの超高難易度クエスト選んでやろうか?まぁ、俺にとってはいつも素材集めに周回してる場所なんだが……」
「良いですね! それは……勿論バックアップはしてくれるんですよね?」
「最低限はな。完全に俺がやってしまうと、経験値が全部持ってかれるぞ」
へぇ〜楽しそうじゃん。チートの俺には最適かもな……。コイツの基準はイマイチ分からんが……。
「へぇ〜良いんじゃね? で、どんなクエストなの?」
「勿論討伐クエストだが、その名も『竜の巣殲滅作戦』だ。内容は、竜の巣という竜の卵や成体の竜がうじゃうじゃいる所にて、全ての卵およびドラゴンの殲滅と、巣自体を破壊すると言った内容だ。更にこの討伐クエストは、本来1パーティがやる様なクエストでは無い。大人数パーティでの戦闘を想定したクエストで、決して俺みたいに必要素材集めにソロで行く様なクエストでは無い……」
この提案に、俺以外の全員が固まる。
「へ、へぇ〜確かにある意味超高難易度ですね……ははは……」
「ふ〜ん……良いんじゃね? お前が必要素材集めに度々行くクエストって事はまだ誰も巣の破壊を達成してないって事だよな?」
「そりゃ当たり前だ。幼体のドラゴンでさえも成体の大きさとほぼ変わらない。そんな物が無数にいる巣だぞ?」
「オッケー!早速そこに行こうぜ?」
しばらく全員に沈黙が入ると漸くパーティリーダーが口を開く。
「そうですね……どうせ死んでも復活出来ますし……い、行きますか!」
あ、この世界そういう仕様なんだ……まんまゲームの世界かよ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・
SSSカンストが率先して、竜の巣を奥へ進む。
「全くよぉ……Eランクになった瞬間にドラゴン戦って最高かよ! これで俺様クリアしちまったら、一気に名声あがるんじゃね!?」
「だろうね。未だに一人もクリアしてないクエストなんだがら」
そうペチャクチャ会話していると、早速目の前に赤いドラゴンが現れる。
「来たぞ! 全員構えろ!」
「来た来た来たぁ! かかって来いゴラァ!」
「回復に専念します!」
「さぁて……ガード!」
「あー……足が動かないや……」
「うわぁ……でけぇー」
すると、SSSカンストの剣は青く煌めき、一気にドラゴンに斬りかかる。
ドラゴンは一撃で蹌踉めく。
ふーんなかなかやるじゃん。
「はいはーいカンスト君もちょっと下がっててねー」
「何をする気だ?」
「いくぜ!
キッギギギ! キイイイイン……
耳を劈くノイズが竜の巣全域に広がる。
グギャアアアッ!!
暫くすると何処からとも無く、ドラゴンの断末魔が絶え間なく響き渡る。
「な、なんだ今のは……!?」
流石にカンスト野郎も言葉を失うか……だって今ので、竜の巣全域に住むドラゴン全部死んだもんねぇ……。今の音を聞いた全てのドラゴンは、死に至る! それだけ! なんてチートなんだろう!
「後は巣の破壊だけだね♪」
「お前は一体……?」
「あはは……六人パーティ組んだ意味はなんだったのでしょうか……さて、でもこんな広大な巣なんてどうやって破壊するんですか?」
「それは安全が確保された事を確認の上、政府に申請する事で空爆をしてくれる筈だ……」
「って事は一度報告にギルドに戻らないと行けないって事ですね」
空爆ぅ? そんなんでこの巨大な巣を破壊出来んのか? まぁ、大きな損傷を与える事は出来るかも知れんが、あくまでドラゴン達は繁殖する為のスペースを確保しているに過ぎない。
なら丸ごと消した方が速えだろ!
「なぁ、んな事しなくても簡単にぶっ壊せるぜ?」
「あぁ、お前の力は十分に分かった。だがこの竜の巣はどれだけ広いか知ってるか?」
「知らん。だけどぶっ壊せる。ただ此処一面火の海になるから先に帰ってってくれ」
「火の海? 爆発魔法でも使うつもりか? やめとけ、幾らでかい魔法でも、一撃で破壊出来る広さじゃない」
「まぁまぁ、良いからまた明日来い」
「ちょ、何を……!」
強制転送!
「さて、静かになったな……大丈夫だ……ちょっと力を抑えれば良い……ふぅ……いくぜ!」
『
これで3度目だね。多分こんな魔法普通なら連発なんて出来ないんだろうけど、俺はその威力を自由自在に操れる且つ、魔力は無制限だからな! ウハハハハ!
キュイイイイイイン
ゴゴゴゴゴオオオ!!
・・・・・・・・・・・・・・・
一方ギルド・・・
「おい見ろ! アレはなんだ!?」
「すげぇ爆発だな……」
「確かあの方角って竜の巣じゃ無かったか?」
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