第15話 ちょっとだけ昇格
「最上さん、Gランクでやった依頼の功績により、Fランクに昇格です! おめでとうございまーす!」
「これくらい経でもねぇわ」
たった3つの依頼をやっただけでGからFに昇格。さて、どんな仕事が来るのかな?
「では早速ですが、商人から依頼が来てます! えーっと『薬の在庫が減ってきた為、王都の外にある薬草を取ってきて欲しい』だそうです!」
「お〜ようやく初心冒険者みたいな依頼だな! Gランクはお手伝いみたいな感じだったけど!」
「えぇ、まだFランクは『所詮お手伝いしか出来ない出来損ない』という信頼度ですが、次のランクで討伐依頼も来るとおもいますよ!」
「よし、やってやらぁ!」
「あぁ、君が今回の依頼を受けてくれた冒険者かな? 依頼内容は聞いてきたと思うけど、取れた量に応じて報酬を渡すつもりだ。と言っても薬草自体の価値が低いから大量に取って来た所でそこまで報酬は無いがね」
「了解しました〜在庫パンパンになるくらい取って来ますねー」
「ハッハッハ! うん。いってらっしゃい」
さて、薬草か……要は草むしりだよな? へっ、んなもん王都から出たらわざわざ薬草を探す必要も無え。
「さぁて薬草〜薬草♪」
こうすりゃ良いんだよ!
「
モサモサモサモサッ!!
うっは〜一瞬で薬草の山が出来ちまったぜぇ〜。いや、マジの薬草の山だな……これ、雑貨商人の倉庫に入りきるか?
まぁ、とりあえず四次元ポケットならぬ空間保管してと……持っていくか!
「は〜い持って来ましたぁ〜」
「え? まだ10分も経ってないよね?」
「まぁまぁ、倉庫に行きますよ」
「あ、あぁ……」
倉庫目掛けて空間保管庫解放!
モサモサモサモサッ!! バリバリッ!
「え……ちょ、倉庫が!」
ドッバアァ〜……
「あっちゃ〜入りきらなくて倉庫ぶっ壊れましたねぇ」
「……いや十分過ぎる量をありがとう。明日は薬草セールでもやろうかな……はいこれ報酬。10万エーデルでどうだ?」
「ありがとうございました〜」
「いやはやサクッと終わりましたぁ」
「次は一体どんな方法で!? 近くの雑貨屋さんの倉庫が崩壊したと聞きましたよ?」
「そのまんまです」
「全く、今回は面白い冒険者入りました……もう知り合いと急成長する冒険者の話題で持ちきりですよ」
「あははは……」
「さて、次の依頼ですね。えーっと『夫が鉱山へ採掘に出かけたっきり帰って来ない。見に行って危険なら連れて帰って欲しい』との事です!」
遭難者の捜索依頼か……。
アレだな……GランクもFランクもあんまり変わんねえな。強いて言えば王都の外に出れるくらいだ。
「じゃあ行って来まーす」
さぁて、流石に遭難者はチートじゃどうにもならないって? そんな事は無い! まずは夫って言うもんだから依頼者の脳内から情報を集め、夫の情報から強制転移させれば良い!
「あ、貴方が今回の依頼を受けてくださった冒険者でしょうか? 此処夫が鉱山へ採掘に出かけてから、三日も音沙汰無いんです。それで少し心配になり……」
「はいはいちょっと頭触らせてください」
「え……?」
ギュイイイン……シュピン……
「ふむふむ、なるほどなるほど……」
「えっと、どうしたんですか?」
「
シュンッ……
「う、うわぁ! へ? あれ? 此処何処だ?」
「あなた! 心配したのよ!?」
「へ? なんで? あ、まぁ、ごめん……」
うむ。この反応を見ると特に遭難していた訳ではなさそうだな。じゃ、帰るか!
「あ、冒険者の方! ありがとうございました! これは報酬です」
うおっ、たったこれだけで20万エーデルかよ! どんだけ心配してたんだ?
「へーい! 捜索依頼なんて王都出る必要も無かったぜー!」
「えぇ!? そんな事も出来るんですか! 普通の転移ならまだしも、本人に会う必要が無いなんて……SSSランク冒険者でもそんなの聞いた事がありません!」
「まぁまぁ、俺は特別なんだよ」
ま、俺がこんな力を得た経緯も俺自身全く分からないんだけどね……。現実世界で通り魔に殺されたら、ドラゴンの腹の中に転生だぜ?
普通の転生物語だったら、女神やの神様とかに会って、『貴方は残念ながら現実世界では死亡しました』とか言われるんだよな?
「じゃあ次の依頼ですね……えっと『薬草セールをやったら大繁盛した! 次は店を手伝ってくれ! 一人じゃ手に負えない!』だそうです?」
「まさかこれさっきの雑貨商人じゃねぇだろうな。薬草セールは明日とか言って無かったっけ?」
「そうなんですか?」
「まぁ、どうせ何かしら訳があるんだろうよ!」
ザワザワザワザワ……ガヤガヤガヤガヤ……
「あー冒険者さん! 来てくれたか! いやぁ倉庫が薬草で埋まったせいで倉庫に元々入ってた物が取り出せないんだ。
倉庫整理するつもりで薬草セールやったら、Eランク冒険者はガンガン集まってくるし、BやAは調合で大量に必要何だってさ!
一人じゃ手が回らないよ!」
「オーケーオーケー! 大声出さなくて良いから、一瞬で終わらせてやらぁ」
「え? 一体何を……」
時間操作! 十時間後!
シーン……
「あ、あれ? 終わった? と言うか客は?」
「時間を操作した。さっきから今は十時間後の時間」
「えぇ……君は一体何者なんだ……しかも売り上げも……うッ!? 身体が動かない??」
大繁盛したこの店と店主のやる気からして、薬草が十時間でほぼ売り切れると言う未来が確定していた。
つまり十時間、時間操作をする事で、雑貨商人店主は十時間ぶっ通し働いていた事になる。
そう。休憩無しにノンストップでね。
「あぁ〜凄まじく眠たい……Zzz……」
さ、帰るか!
「よぉし終わった終わった〜」
「おや? 随分と時間が掛かりましたね」
「あー実質はね……十時間程時間を進めたから……」
「じ、時間操作!? 瞬間的な対象の行動静止魔法を使える人はいますが、時間そのものを操作して仕舞うなんて……Lランクでもあり得ないですよ!?」
「あ、そうなの?」
「えぇ……徐々に静止時間を伸ばす研究はされていますが……」
「ふーん……」
「ま、まぁ良いでしょう。貴方の素性を幾ら探った所で、全てが分かるのはいつになるか分かりませんし。今日の依頼はもうありません」
「良し! じゃ、また明日〜」
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