第2章 冒険者編
第12話 ぼのぼの冒険、やる気が無さ過ぎる男は、のびのび生きる
プロトス王国を消しとばし、ルータス王国も消しとばし、世界を消した最上稟獰。
次の転生は、目的も無い異世界を彷徨する旅を始める。
んー……誰もいねぇなぁ……。
転生した場所は何の変哲も無い草原。そして目の前には可愛らしい見た目に鋭利な牙を生やしたどう見ても魔物。
それに対するは、如何にも弱そうな冒険セット一式を装備した冒険者。
良い暇潰しだ。様子を見よう。
「か、かかって来い!」
「グルルル……ガウガウ!」
両者とも何故か攻めようとする意思は無く、どちらも怯えている。
「どうした? 来いよ!」
「ガウガウッ!」
両者とも守りを固め、相手の様子を伺っている!
「なんだ? お前。腹減ってねぇのか?」
「グルルルゥ」
「良し! お前は、俺の所に来い! 飼ってやるよ」
「ワン!」
え"え"え"? は? 結局仲良し? ツマンネ……
「で? そこで俺の事をじっと見てるお前は何なんだ?」
「なんだ。気づいてたんだ。俺の名前は最上稟獰。ごく普通の何処にでも居そうな十九歳の男だ。近くに街とかある?」
「へぇ〜確かに何処にでも居そうだな! えっと街はね此処から北の方へ行くとラングザームっていう超大きい王都があるんだ! 今からこのコロマル連れて帰るつもりだから一緒に行く?」
「ワン!」
既に名前つけてもう懐いてんのか……人懐っこい魔物だなぁ……。
「北だな……良し大体何メートルくらい?」
「え? そうだなぁ。大体千二百メートルくらいかな?」
「分かった。世話になった!光速ダッシュ!」
「はやっ!? ってえええ?」
ふぃー。着いた着いたぁ……まさか、又しても見知らぬ世界に飛ばされたかと思ったらステータスはそのまんまなのな……ははは。
「あのーすみません。今貴方検問無視しましたよね?」
「へ? あ、あー! 気付かなかったわ」
「では、改めて入り口に戻り入国手続きを受けた後、入ってきて下さい」
「オーケーオーケーすまねぇな」
さぁて? 今回は勇者みてぇな待遇は無え様だな。何なら前の世界よりは楽できそうだ。
「はい。では貴方はどんな理由でこちらに?」
「あー、ちょっと泊まる所と、出来れば家とか。金も欲しくて稼ぎ場所があれば。それさえあれば大丈夫っすね」
「成る程。住宅希望と安定した収入ですね。では何方から来たのですか?」
さぁてぇ? 何処から来たんだろうねぇ? 適当に答えておくか。
「あー、ずっと南の果てから。移動時間長すぎて故郷忘れちゃいました!」
「それはお気の毒に。南の果てですね。後程調べておきます。という訳で、住宅希望なら住民登録からですね。と言っても貴方の情報が不確かの為、仮として住民登録をこちらでやっておきます」
はぁぁあ……あ、なんて優しい世界なんだ。俺の怒りをまるで風の様に受け流していく……。
「お、ありがとう」
「いえ。では改めてようこそ。王都ラングザームへ!」
やっべええええ。なんかしっくり来ねえええ。余りにも平和過ぎるというか、これって俺は勇者でも無い単なる冒険者になるって事だよな!?
ま、チート能力はさておき、自由ってのは最高だぜ!
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