第17話 数場面でいいから、描写にこだわる展開を作る。

 数場面でいいから、描写にこだわる展開を作る。

 あまり描写に力を入れすぎると、小説は空回りする傾向が強いので、力加減、さじ加減が難しいですが、数場面でいいので、描写にこだわる場面を作ってください。


 小説を読み終えた読者が、あなたの小説のどの部分に共感し、どの部分を読後、思い描くか考えたことがありますか?


 それは小説の書き出し、文頭の部分かもしれませんし、物語のクライマックス。

 エンドロールの流れる場面かもしれません。


 読者はあなたの書く小説のどこかに必ず何かを感じ、共鳴し、情報の送り手の意思に従う形で、読み終えたとき、その描写に回帰します。


 だからこそ、読者がおそらくこの部分を回想するだろうなと思える部分に先回りし、その部分の描写に徹底的にこだわり抜くべきです。


 数場面でいい。

 描写にこだわる展開を数場面、小説の中に盛り込み、読者の海馬、脳に鮮烈なシーンを焼き付けるよう、注力することです。


 できる作家というのは、ここがおそらく正念場で、このシーンが自分の小説の中でのメインディッシュとなり、山場になるに違いない、最高に盛り上がる場面だというのを本能的に見抜いていて、その文節の匂いを嗅ぎ分け、読者より先回りします。


 勝負下着は、勝負の時に見せてこそ、価値があります。

 普段からチラ見させているようでは価値がありません。


 ここぞという時、ここぞという盛り上がりをした時、心理描写、情景描写で徹底的にいじめ抜くことです。


 のべつくまなく最初から最後まで単一の調子では、読者はどこに重きを置き、重点的に鑑賞したらよいのか、どこに視点を合わせるべきか、力の入れよう、視線の落としどころに疑問を感じてしまいます。


 ここぞという時こそ、数場面でいいので、描写にこだわるシーンを盛り込むべきです。これは小説を書く上でのセオリーみたいなものかもしれませんね。



 

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