『雀の涙』裏にて

 はいはい。

 すみません、人を探し、っ!イワンさん!

 やっぱりあなたたちですか。

 イワンさん、なぜ!

 はい静かに。ここで立ち話もあれですので裏に行きましょう。そこでゆっくり話しましょうよ。

 はい。行くよあにィ。

 な!ちょっと待てハインリヒ!


 で、あなたたちは一体何の用ですか。私今朝食中で

 わかっているでしょう?俺たちの聞きたいことぐらい。俺たちにはあなたじゃないとダメなんだ。俺もやっては見たが年上の奴らを取り締まるのは大変だった。やっぱりあなたじゃなくっちゃ。

 ですが私は私で新たにやることができました。『河川龍神かせんりゅうじん』の罪を帳消しにする代わりに、ティアたちの手伝いをしているんですよ。

 新たにやることができたから、こちらのことはもうどうでも良いと?

 そういうことではないのですが。

 俺たちは約束を守らなくてはいけないんだ。力尽くでも・・・!

 あにィ!よせよ!

 構いませんが・・・。あなた方、私に勝てると思うんですか?

 俺も少しは成長してるんですよ。勝てる見込みはあるかも!

 うーん往生際が悪いですね。まあここを見つけたわけですし、早くみんなに紹介したいのでちゃっちゃと終わらせましょうね。

 何をおっ!

 ティアメイル、〈月白げっぱく〉。

 イワンさん、その・・・姿は・・・?

 人間を捨てたというのか!

 捨てたというか、説明が難しいですね。これが本来の姿だそうです。あなたたちは、精霊持ちという言葉を知っていますか?

 何ですか、それ。聞いたことないです。精霊使いと違うんですか?

 ハインリヒ!

 あにィ、それを下ろすんだ。話だけでも聞こう。

 ありがとうございますハインリヒ。精霊持ちというのは精霊使いのように修行をしなくても、生まれつき霊力を持つ者です。そうグラント。あなたのように。

 俺のように?

 そうです。この洋館、『雀の涙』は大精霊であるティアたちの頼みで作ったものです。ティアたちは精霊持ちを探しています。二人にはここが見えているでしょう。ハインリヒには霊力が目覚めていませんが、ここが見えるということはあなたも精霊持ちです。中にはあなた方と同じ精霊持ちがたくさんいます。

 俺たちを勧誘しているのか?

 はい。

 俺はどうしてもあなたを連れていかないといけない。

 そうですか。ハインリヒはどうです?

 俺はイワンさんにのります。

 なっ!?ハインリヒ、どういうことだ!

 俺はあにィについて来ただけだし。

 もう一度問いましょう。あなたはどうしますかグラント?

 本気かハインリヒ?

 ああ。

 ・・・チッ、分かりましたよ。

 ありがとうございます。さ、行きますか。解除。

 あ、戻った。

 あいつらになんて言い訳すりゃあ良いんだ・・・。

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