C-LOVERS on the stage

 ダラララララララララララ……


 ダンッ!



 スポットライトのの交錯が、それと同時に止む。交錯したスポットライトの三色はになり、壇上の一人に集中した。


「いかがでしたか、Signoreシニョーレ and Signorinaシニョリーナ


 眩い閃光を浴びて、壇上にただ一人立つ彼はニヤリと口元に笑みを貼る。


「我々渾身のステージショウは、これにて閉幕です。皆々様にご満足いただけましたら、幸いです」


 右掌を胸元へ。そうして深々と、優雅かつうやうやしく頭を下げる。

 毛髪は美しいブルーアッシュに染まっている。スポットライトは、そのブルーアッシュを宝石の輝きのように照らし出す。


「さて」


 キラリ──いや、ギラリ。

 彼の眼がレンズの奥で、含みある光を放つ。

 頭が上がり、一層にんまりと彼は笑む。


Please clapお手を your hands拝借


 長い両腕が手拍子を開始。


curtain callカーテンコールと参りましょう! The first isまずは……服部若菜!」


 スポットライトのが、彼の左端に一筋降りる。その下に立っているのは、名を指された黒髪ストレートの彼女。

 三歩前へ進み出で、笑顔での一礼。


next is続いて……サミュエル!」


 彼の右脇に、スポットライトのが一筋降りる。煌々と照らされた少年は、客席へ大きくその腕をひと振りして。


and、エノーラ!」


 少年の右隣に、更にスポットライトのが一筋。照れを混ぜた笑みの少女が照らし出され、少年と手を繋いで大きく腕を下ろしながら一礼。


next isそして……小田蜜葉!」


 少年と少女の更に右横に、スポットライトのが一筋。同様に三歩歩み出でて、右足を後ろへ廻し、うやうやしく膝を折った。


The last is最後は──」


 美しいブルーアッシュの頭髪の彼は、右回りに一八〇度の華麗なターン。

 背面を向けた彼はしかし、赤茶けた柔らかい癖毛の彼が立っていた。


「──柳田良二!」


 のスポットライトは、赤茶けた頭髪の彼を熱く照らす。

「…………」

 クールなまなざしを客席へ刺し、やがて九〇度を越える角度をつけて、その高い位置にある腰を曲げ下げた。


「以上五名、プラスわたくし──YOSSY the CLOWNの六名にて、締めの挨拶とさせていただきます!」


 柳田良二の裏側から出でたYOSSY the CLOWNが、両腕を高く客席へ向ける。

 横一列の六名は、照明の落とされている客席へ各々で手を振ったり、満足そうに笑みを向けたり。


「さて。僕らと共に、キミの世界ははたして美しく変えられたかな?」


 回答を待つ、壇上。


「そのご回答は、幕が下り、客席を立ったその瞬間のお気持ちを、皆々様の胸中にお持ちいただけますと幸いでございます」


 一同──服部若菜、柳田良二、YOSSY the CLOWN、サミュエル、エノーラ、小田蜜葉の横一線で繋がれる手。

 それらは高く持ち上がって、頭を下げたと同時に下ろされて。


「ありがとうございました!」


 下り行く緞帳どんちょう

 絞られていくスポットライト。

 

 拍手は、やっぱりまだ誰一人打たない?

 いいえ、なんのなんの。ワタシには聴こえます。


 とんでもない喝采と、「アンコール」の声、がね。


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