第60話 ツンデレなエイリアン

「地球人……そうだったのですね……」


 ふぅ、ちょっと話が長くなっちゃった。

 私が宇宙人に攫われたことから、ラハルでの出来事まで、ひと通りの説明は出来たかな。

 ところどころチコタンが補足してくれて助かったよ。ミィシャンは……。


「スミャァ……スミャァ……」


 すっかり眠ってる。まあカワイイからいいか。


「あなたが特異点でしたのね。あのダークマターの強さも納得ですわ」


 うん? 「あなたが特異点」って言った?


「もしかして、私のことを知ってるの?」


「ええ、正確には特異点の本体のことを知っていますわ」


 おぉ! まさかの手がかり発見!!


「特異点について本部の研究者が騒いでいるのを聞いたことがあります。あれは確か、ワタクシの洗脳が解けた頃ですわね」


 やっぱり私の体は本部にあるんだ。

 これで目指す場所もハッキリした!


「こっちの事情は今話した通り。敵も同じみたいだし、協力した方がいいと思わない?」


「そうかもしれませんわね……しかし……」


「まだ何か心配ごとがあるの?」


「ワタクシと一緒にいると危険が増えますわ、あなた達だけなら自由に動けるはずですの」


 うーん……確かにそうかもしれない。

 エルリンが正しい気がするけど……でも別々の行動はしたくない。

 何とかエルリンを説得できないかな……。


「一緒に行動すると危険が増える、本当にそうでしょうか? むしろ逆じゃないでしょうか?」


「どういうことですの?」


 おや? チコタンが私に向かってパチリとウィンクを……今のウィンクは……。

 「ここは私に任せて、説得してみせます!」っていう心の声が聞こえてきたよ!

 分かったよチコタン、ここは任せる!! 


「第一に、すでに私達はエルリンと接触しています。これだけ文明の進んだ惑星ですから、どこかで監視されているかもしれません。その場合は私達もヴェーゼに狙われていることになります」


 なるほど、チコタンの言う通りかも。


「第二に、私達はフローンのことをほとんど知りません。知らない惑星に私達だけ……どんなトラブルに巻き込まれるか分かりませんよね?」


「それは……そうですわね……」


「エルリンはフローンの事情に詳しいのですよね? エルリンが一緒にいてくれると私達も安心なのですが、どうでしょうか?」


「そう! 私もそれが言いたかったの!!」


 流石チコタン頼りになる!

 私の言いたかったことを全部言ってくれた!!


「とにかく! 私達は友達なんだから、一緒にいた方がいいよね!」


「友達? まだ出会って間もないですのに……」


「そんなの関係ないよ、もう友達だよ」


「そうですね、友達ですね」


「ムニャ……ムニャ……」


 ほらほら、ミィシャンも寝ながら「友達だヨ」って言ってるよ。

 たぶんそう言ってる、きっとそう。


「そ……そこまで言うなら一緒にいてあげてもいいですわ。ただし、後悔しても知りませんわよ!」


 嬉しそうなのにそっけない。こっ、これは……ツンデレだ!

 はじめて本物のツンデレを見た、カワイイな……。


「決まりましたね、これからよろしくお願いしますね!」


「ニャムニャム……」


「えぇ、よろしくお願いしますわ」


 よし、目指すは打倒スプリィムだ。

 一緒に頑張ろうね、エルリン!

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