第36話 対峙

「くそっ、視界が……」


 ゴミクズは目がくらんで動けない。

 一方の私達は無傷だし準備も万端。


「二人ともチャンスだよ!」


 まずはチコタンとミィシャンに任せて、私は少し休憩。

 ダークマターの使い過ぎには注意しないとね。


「任せてニャ! 今のうちにやっつけちゃオ!」


「はい! いきましょう!」


 二人は事前の打ち合わせ通り、しっかり連携してビームを撃ってるね。

 あれだけ乱れ撃ちすれば避けられる心配もなさそう。

 これは案外あっさり……えっ!?


「なんですか!?」


「ビームが弾かれタッ」


 直撃するはずだったのに、見えない壁みたいなのがビームを弾いちゃった。

 まるでダークマターのバリアーみたい、一体どういうこと?


「貴様ら……許さんぞ……」


 しまった、もう復活してきた。

 せっかくの不意打ちが無駄になっちゃう。


「こうなったらダークマター、ゴミクズの動きを止めて!」


 ……。


「あ、あれ?」


 おかしい、ダークマターが凄く重たい感じだ。

 ゴミクズの動きを止められない!?


「無駄だ小娘、私にダークマターは効かぬ!」


「ダークマターが効かない?」


「ビームも弾かれちゃっタ! 何が起きてるニャ?」


「くっくっくっ、私の着ているスーツが見えるか? これはジャマースーツといってな、各部に装着されたジャマー装置がダークマターの動きを阻害するのだ。つまりダークマターによる攻撃は全て防ぐことが出来るのだよ」


 ジャマースーツ? あの銀ピカのスーツのこと?

 あんなのでダークマターが防げちゃうの?


「さらに! ジャマー効果を拡散することで、周囲のダークマターを鈍らせることも出来る。これがヴェーゼの最新技術だ! この空間で自由にダークマターを使うことは出来ぬぞ!!」


 確かにダークマターの反応が凄く鈍い。

 全く使えないわけじゃないけど、好き放題に使うのは難しそう。


「そしてこのドローンビットは、ビームによる攻撃機能とバリアーによる防御機能、両方の機能を備えている。これがある限り、私への物理的な攻撃は通用しないのだ!」


「こちらのビームを防いだのも、バリアーによる防御機能というわけですか……」


「うナァ……これは厄介だナ」


「フハハハッ、どちらも貴様等ごときに破れる代物ではないぞ!」


 うーん、流石に最初から最後まで作戦通りには進まなかったか。

 仕方ない、作戦その五は中断かな。


「こうなったら真正面から攻めよう。ダークマターも全く使えないわけじゃないし、きっと何とかなるはず!」


「分かりました、頑張りましょう!」


「三人がかりなら勝てるニャ!」


「くっくっく、愚かな小娘共だ……オペレーションコントローラー!」


《ゲスーチ様、ご指示をどうぞ》


「この部屋の状況、反逆者の映像を惑星全土に放映しろ」


《かしこまりました。映像調整……放映準備完了……放映を開始します》


「惑星全土に放映? どういうつもり?」


「理解力の低い小娘だな、貴様等は見せしめとなるのだ。二度と反逆者が湧いて出ぬよう、愚か者の末路をさらしてやるのだ」


 なるほどね、相変わらずの性格の悪さだ。

 まぁ別にいいけどね、見せしめになるつもりなんて一切ないし。


「負けるのはアンタの方、覚悟しなさい!」


「こちらのセリフだ。小娘共、覚悟して貰おうか!」

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