第6話 大ピンチ!
機械だらけの狭い通路。その中をフワフワ漂うチコタンと私。
少し休んで、満腹だったお腹を落ち着かせたあと、今は二人で散策中。
どうやらここ、宇宙ステーションじゃなくて宇宙船の中だったらしい、まあそれはいいとして。
問題はこの宇宙船、床は銀色、ドアも銀色。壁と天井にも銀色の機械がびっしりなの。
あっちも銀色、こっちも銀色。銀色銀色銀銀銀!
あーもう! 目がチカチカして気が狂いそう!
とりあえず、私は体を取り戻したい。
それから、チコタンとユイタソちゃんの敵を討ちたい。
まあ、完全に迷子だから、どこに行けばいいのかも分かってないんだけどね。
似たような景色ばかりで、どっちに進んでるのかも全然分からないし……。
「ソーラ、目的地は分かっているのですか?」
「全然分かんない、でも女の勘でなんとかするから大丈夫!」
「勘って、そんな適当な……」
心配しなくていいよ、私の勘って結構あたるんだから。
それに運も相当強いしね。
宇宙に攫われてる時点で運が悪い気もするけど、そこは一旦置いといて。
とにかく私を信じて進めば大丈夫だから。
ん? このドアちょっと怪しいかも。
この先に目的のものがあるような、そんな予感。
「あっ、そこは!」
よし、入ってみよう。お邪魔しまーす。
《ビーーイィッ!》
《ビーーイィッ!》
うわ、すっごいうるさい音。そこらじゅうで赤いランプが点滅してるよ。
やっちゃった感が凄いんだけど、一応確認しておこうかな。
「チコタン、これって何?」
「警報装置です……そこはセキュリティルームです……」
ですよねー……。
なるべく見つからないように行動しないといけないのに、逆に警報装置を押しちゃったんだね。
私が、ね。
てへっ。
「とととっ、とにかく逃げよう!」
「ひゃわわっ、はいぃ~」
ゴメンねチコタン、ちゃんと確認するべきだった。
でもさ、そのうち誰かに見つかってたと思うし、発見されるのが早いか遅いかの違いだよね。そう思うことにしよう。
「ソーラ、追っ手です」
「え? うわっ、マズい!」
宇宙人だ!
大量の宇宙人が私達を追いかけてきてる!!
ひょろ長でげっそりで、青いタコみたいな、気持ち悪い系の宇宙人だよ。
なんであんなに気持ち悪いの? ちょっとはチコタンを見習ってよ! マジ天使だから!!
ホントは天使じゃなくて宇宙人だけど。
でもカワイイレベルは天使級、うちゅカワ天使だから!
「右からも追っ手です!」
「変なこと考えてる場合じゃなかった! こっちに逃げよう!」
「はい!」
あーもうしつこい! いつまで追いかけてくるのよ。
おっと、あのドアちょっと怪しいかも。
あそこだけ金色だし、無駄に豪華な感じもする。もしかして重要な部屋だったりして?
私の直感が告げてる、ここで突入するべきだと。
「ソーラ、待ってください!」
大丈夫、こういう時は勢いが肝心なの!
女は度胸! ためらわずに進むの!
「というわけで、お邪魔しまーす!」
「よく来たな、待っていたぞ」
前言撤回!
勢いだけで進むのはよくないよね。ためらいが大切なときだってある。
例えば勢いで開けたドアの先に、大量の宇宙人が待ってました。そんなヤバい状況になることだってあるかもしれないしね。
っていうか、今がまさにその状況です!
「ソーラ、どうしよう!?」
「どどどっ、どうしよっ!?」
えっとー……そうだ!
間違えた振りをして、しれっと退室出来ないかな?
「あ、スミマセン~、お部屋間違えちゃいました~、てへっ」
「逃がすと思っているのか?」
無理だったかー、恥ずかしい演技までしたのにな。
ゴメンねチコタン、やっぱり開ける前にちゃんと確認するべきだった。
とにかく私達、大ピンチ!
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