第3話 カワイイ宇宙人

「宇宙人ーッ!?」


「ひゃわわぁっ!? ……お化けですか? ゾンビですか?」


 えっ……お化け? ゾンビ?

 突然どういうこと? 私は宇宙人だけど。

 間違えた、ホントは地球人だった。

 地球人とか宇宙人とか、ゾンビとかお化けとか、色々出てきすぎて混乱しちゃうよ。


 ところでこの子、なんで私よりビックリしてるんだろ?


「あ……う……えうぅ……」


 あ、マズい。 泣き出しちゃった。

 ん? よく見たらこの子、めちゃくちゃカワイイんじゃない?

 宇宙人な私も凄くカワイイんだけど。それを上回るカワイイ系の宇宙人ちゃんだよ。

 うちゅカワな宇宙人ちゃんだね。


「ユ……ユイタソ……生きていたんですね……っ」


 うわっ、声もめちゃカワイイッ……完全に私の好みだ……。

 いいなぁ……宇宙人……好きかも……。

 って、今はそれよりも大事なことがあるか。


 言葉は分かるから、とりあえず意思疎通は出来そう。試しに話しかけてみようかな。

 初対面はまず挨拶! これはもう世界共通、いや宇宙共通だよね。


「えっと、はじめまして~、こんにちは~」


「あ、あの? え?」


 あら? 伝わってないかな?

 もしかして日本語だと通じない?


「ハロ~、ニーハオ~、ボンジュ~ル」


「こ、ここっ……こんにはっ」


 ……なるほど、日本語はちゃんと伝わってるみたいだね。

 ただこの子、私の何倍も混乱してる。

 だって「こんには」って、普通そんなベタな噛み方しないでしょ。

 カワイイけど! 凄いカワイイけど!!


 よし、ここはまず私が冷静にならないと。


 冷静に。

 落ち着いて。

 深呼吸して。


 すぅー……。


 はぁー……。


 ぐうぅ~……。


「「……」」


 はい、今のは私です。


 恥ずかしい!

 どうしてここでお腹が鳴っちゃうのよ?

 初対面の宇宙人ちゃんの前でお腹が鳴るなんて。

 今の完全に聞こえちゃってたでしょ!


「あの……何か食べますか?」


 ああ、カワイくて優しい宇宙人ちゃん、お気遣いありがとう。

 恥ずかしすぎて変な汗かいてきた……。


「はい、いただきます……」


 宇宙人に気をつかわれちゃう、確実に人類初の体験だよね。

 こんな人類初は体験したくなかったなぁ。


「すぐに用意しますね」


「よろしくお願いします……」


 はぁ……。

 目が覚めたら宇宙にいるし。

 どういうわけか宇宙人になっちゃってるし。

 ついでに恥ずかしい思いもしちゃうし。


 いったいこれからどうなっちゃうの!?

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