第2話 目が覚めるとそこは……

「う……ん……んん!?」


 目が覚めるとそこは、一面銀色の不思議な空間でした。


 はて、ここはどこ? 私は誰……。

 いやいや、流石に自分のことは覚えてるか。明峰空あけみね そら、十六歳、東京都在住、高校二年生。

 うん、とりあえず記憶喪失とかではなさそうかな。


 でもここがどこなのかは全く分からない。

 壁も天井も床も、どこを見ても銀色の不思議な部屋。

 なんで私、こんなところで寝てるんだろう?

 よく分かんないけど……とりあえず起きた方がいいよね。


「っとっと……とおぉ?」


 ビックリした、何これ?

 フワフワして体が軽くて、まるで宙に浮かんでるみたい……って、ホントに体が宙に浮かんでる!?

 私そんなに体重軽くないよ? むしろ最近ちょっと増えたよ! 結構悩んでるよ!

 そんなこと今はどうでもいいか……ホントはどうでもよくないけど、今は一旦置いておこう。


 それよりこの状況だよ。

 これってきっと無重力っていうやつだよね?

 ヤバい、ちょっと混乱してきちゃってる。頭の中が真っ白になりそう。

 こういう時こそ冷静にならないとね。落ち着いて私!


 あ、窓がある。

 ちょうどいいや、外の景色でも眺めてリラックスしようかな。


 わぁ! すっごく綺麗な星空だ。満天の星が宝石みたいにキラキラ輝いてる。

 でもこれ、よく見たらホントに目の前に星があるよ。星空じゃなくてただの宇宙だこれ。


 無重力に、銀色の部屋、そして窓の外は宇宙……なるほどね。

 つまり私は今、宇宙空間にいるわけだ。ということは、この銀色の部屋は宇宙ステーション的な何かの一室ということかな……?


「いやいや! 無いから、流石にそれは無いから!!」


 あり得ないでしょ! だって私、ただの女子高生だよ?

 宇宙とか無縁の一般人だし!


「意味が分かんない……なんでこんなことに……」


 ん? あれ? 

 なんか私、声がおかしくない?

 私らしくない、やたらカワイイ声だったけど。

 それに顔も体も、ちょっと違和感がある気がする。

 特におっぱいの辺り、Fカップはあるはずなのに軽すぎない?


 とりあえず確認しよう、どこかに鏡とかないかな?

 えっと……あぁ、洗面台がある。

 蛇口も洗面器も銀色で、銀色じゃないのは鏡に映ったカワイイお顔だけ。


 白くて綺麗で透き通るようなお肌。うーん、羨ましい!

 へぇ、水色の髪って個性的だね。フシャフシャの緩いヘアスタイルがとってもカワイイよ。

 目はキョロキョロっとキュートな感じで、耳はツンツン尖ってて。まるで宇宙人みたいな顔。


 うちゅカワイイって感じかな?


 うん。


 私。


 うちゅカワイイ!


「って! なななっ、何これ!?」


 え? は? 宇宙人? これ私!?

 嘘でしょ! もしかして私、宇宙人になっちゃってるの?


 あり得ないから! 宇宙人とかホントにあり得ないから!!

 はぁっ、動悸がしてきた……胸が痛くて苦しい……胸が……。


 あれ? ちょっと待ってよ。

 おっぱいがない! 私のおっぱいがツルツルでペッタンコになってる!?

 ん? でもこれはこれで控えめな感じがカワイイのかも……? 


 いやいや! 落ち着いて私、今そういう問題じゃないから。

 とりあえずどうしよう、えっと……。


「ひゃわっ……あの……どうして……?」


 突然のカワイイ声。

 振り向くとそこには。

 別の宇宙人ちゃん、登場。


 そう、宇宙人ちゃんが……。


 宇宙人……。


「宇宙人ーッ!?」


「ひゃわわぁっ!?」


 いや、なんで私より向こうの方がビックリしてるの?


 色々とよく分かんないけど、言えることが一つ。

 どうやら私、宇宙人になっちゃったみたいです。

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