月に願いを(月の野うさぎさま:彼の場合)の弐

《気味が悪い》

と正直思ったが「言うだけタダだ」と2羽の『野うさぎ』たちにこう告げた。

「そうだなぁ、強いて言えば彼女が欲しいかなぁ」

少し試すような口調で言ってみた。

<なんだ、そんな事でいいの?わかったよ。じゃぁ2、3日待ってて>

「わかったよ」

そう言うと、2羽の『野うさぎ』は再び月の上で餅を搗き始めた。すると話し声はしなくなった。


自宅に戻り、買って来た弁当を胡坐をかいて食べている。深夜のくだらないTVを観やしないくせに点放しにしている。

「う~ん、さっきのは一体何だったんだろう?いたずらにしては幼稚っぽいし、第一驚かせる内容でも無かったな。まぁ単なる呑み過ぎだな」

そう片付けると横になって寝てしまった。

翌朝起きると、喰いっぱなしの「のり弁当」の容器の傍らには白く丸い固形物があった。

「何だこれ」

拾い上げると餅のようだ。

「餅みたいだな。あ、昨日の!」

あの夜の出来事は本当だったんだとがわかった。

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