第36話 新しい日の朝

 新しい日の朝。

 そこには、いつものスズの手料理を食べるユウがいた。

 今日は二人ではない。

 ランタンも一緒のテーブルで、朝食をおいしそうに食べている。

 ユウの隣にいる客人は、箸を使えるらしい。

「どのくらい一般常識を知ってるんだ?」

「いっぱん常識ってなんだ?」

 ユウは頭を抱えてしまった。今後の展開が予想できるからだ。まず、休みが減ることだけは間違いない。

「教えてあげないとね」

「マジか」

「政府の根回しで、ランタンを学園に入れたから」

 さらりとスズが言った。六無ろくなしランタンは中等部に編入したらしい。

「ごちそうさま」

「あいさつだな」

 その後、三人は歯磨きをした。


 夏休みはあとわずか。

 ユウたちは、宿題をすることになる。いつもの場所で。

 高いチャイムの音がひびく。

「よう。っとー」

 まずはダイマがやってきた。

 フードをかぶっていない少女にびびって、変な声を出す。玄関までついてきていたからだ。

 しばらくして、さらに来客を知らせる音が鳴った。

「こんにちはっ」

 ユウが家に招き入れたのは、ネオン。

 ランタンへとウインクがされるも、反応はなかった。

 宿題のすくない如月学園きさらぎがくえんとはいえ、ゼロではない。

 みな、黙々とこなしていく。

 ランタンは目を半開きにして暇な様子。だが、愚痴を言わない。その知識がないからのようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る