第33話 いつものこと

 そばにいたのは任務のため。

 ついに、ユウに真実を知られてしまったスズ。

 最後の花火が上がる。

 火が消える前に、少女は振り向いた。大きな音が鳴るなか、瞳に光が映り込む。

 その表情は、決意にちていた。

「分かるの?」

「どこだろうな」

 どこにいるかは感じられない。それでも。

「行ってこい」

 ネオンとダイマ、そしてランタンが言った。

 タダシは黙っている。やさしい顔で。

 スズが走り出した。


 人ごみの中、どこにもユウの姿はなかった。

 力を察知できないため、いつものように見つけることができない。

「どこ? ユウ」

 わからない。それでも、探さないという選択肢はない。

 坂道を進むスズ。

 いつしかその足は、街を見下ろす公園へと向かっていた。

 大勢おおぜいの人とすれ違う。花火を見るために集まっていた見物人が、帰っている。

 何組かのカップルが残る五尺公園に、少年はひとりでいた。

 ほのかな明かりが輪郭りんかくを示す。

 話しかける言葉に迷っている様子の少女。

 そんなことはお構いなしに、ユウは普段どおりの口調で言う。

「やっぱり見つかったか」

「やっぱりじゃないよ」

「ここから見ればよかったよな。花火」

 スズがやってきても、ユウは驚いていない。いつものことだった。いつもと違うことを知らずに。

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