第27話 花火大会

 ユウの部屋に集まる四人。

 いつもと同じく雑談に花が咲いている。

 君は、悟りを開けそうな境地に達していた。夏休みだというのに。

「どうせさわがしいなら、逆に花火を見よう」

 めずらしく、君から提案した。

「珍しいな、ユウ」

 親友ですらびっくりしている。そして、二人の少女はそれぞれ別の反応を示した。

「なんの影響? 何か本を買ってたみたいだけど」

 半開きの目で君を見つめるスズ。腕を組んでいる。

 答えを言う前に、ネオンが割って入った。

「いいじゃない、なんでも。ね。楽しみだねぇ」

 いかがわしい本を買ったわけではないのに、弁解の機会をいっしてしまった。

 まあ、あとで見せればいいか。

 と、君は許容する。


 舵町の南を流れる敷川。

 丘の近くにある川沿いに、ユウたち四人が来ていた。

 大きな音が鳴り、夜空に火の花が咲く。

 浴衣の四人は、見上げすぎて首が痛くなってきたようだ。おまけに蒸し暑い。

「公園から見たほうがよかったかもな」

「ん? なに?」

 音がうるさくて、君たちは満足まんぞくに会話もできない。

「おれ! 飲み物! 買ってくる!」

 はっきりと聞こえた。君は、無言で手を振る。

 気を利かせたダイマが去って、スズと二人きりにはならない。ネオンと二人きりでもない。

 そう。二人の少女にはさまれているからだ。

 ユウは平常心を保っていた。

 勘違いしないぞと心に誓っていた。

「まず、おかしいからな。いろいろ」

 当然、つぶやきは二人に届かない。

「綺麗だね」

「すごーい。どんな仕組みなのかな?」

 二人の大声は、君の耳にしっかりと届いた。

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