第26話 コードネーム五七

 老人が目を開ける。まだ、意識があるようだ。

 和室に敷かれた布団に横たわって、つらそうにしている。その口が開く。

「ワシの頼みを聞いてくれるか」

 高齢のため倒れた、反政府内過激派の代表。

 その話を聞いているのは、こがらなフード姿の人物。

 ユウたちよりも年下にみえる。中学生くらいだろうか。前髪はあまり長くないようだ。

「指令は果たす」

「“彼”を覚醒させてくれ。これは、お前にしかできないことだ」

「わかった。覚醒させる」

 強くこぶしが握りしめられる。

 どうやら、シュン代表の不調を、政府の陰謀だと思い込んでいるらしい。

 彼女は、戻らずの覚悟で挑むことを決意した。

「頼んだぞ。五七」

 フードの奥に燃える目を宿して、ゆっくりとうなずく五七。

 血縁者のいないコードネーム五七にとって、シュンは祖父のような存在だ。

 裏切るわけにはいかない。

 武器も持たずに、五七は立ち上がる。歩き出した。

 そんなものは、何も必要ないからだ。

 ただ、圧倒的な力さえあれば。


 買い物ついでに本を見るユウ。

 辺りを見回して、知り合いは誰もいない。

 んだ香りがする。広く綺麗な書店ながら、あまり客がいない。

「よし」

 君は、様々な本を手に取った。

 そして、一冊のゲームブックを手に取る。

 選択肢があり、選んだほうの番号までページをめくり、また選ぶ。というものだ。

「してもいいし、しなくてもいい?」

 どこかで聞いたような文を見つけ、君はほくそ笑んだ。

 本を閉じ、会計へと歩く。

 君は買ってもいいし、買わなくてもいい。

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