第24話 話を聞かない人たち
「もうすこしだけ、待ってください」
少女の真剣な表情を前に、男が眉の力を抜いた。
「それだけの覚悟があるんだな。分かった」
「ありがとう、ございます」
タダシが、こっそりとスズに耳打ちする。
「さっき触れて分かったが、彼が力を信じていないのは本当のようだ。今はまだ」
相変わらず、君は状況がわからない。
ずっと能力を使ったわけではないので、まだ力は残っている。すぐに金属が曲げられ、タダシは解放された。
「俺はここに来なかった。そういうことにしてくれ」
「ラッキー。アタシも見逃してくれるのね」
「戦闘向けの力はないが、強い
「はい」
男は、振り返らずに去っていった。
「スズちゃん、おれにも力の使いかたを教えてくれよ」
「それじゃ、行こう。遅くなっちゃうから」
ダイマの提案は聞き入れられることがない。
四人は海へ向かう。
「すげーよな。力って」
「手品だろ」
ビーチパラソルの下で日差しをよけながら、少年たちは目の保養をしていた。
寄せては返す波。
君は、初めて親友が信じられなくなりそうだ。力など持っていない、はずだ。
力に関連して、夢を思い出していた。ぼそりとつぶやく。
「五七、か」
ネオンが一瞬表情を変えて、すぐに笑顔で近付く。
露出の多いあざやかな水着をまとっているものの、気恥ずかしさは感じられない。
そして、君は質問攻めにあった。
「得意なことは?」
「静かなこと」
あまり露出のない、落ち着いた水着の少女が、いつのまにか隣にいた。
今度は、スズが質問する。
「へぇ。じゃあ、苦手なものは?」
ユウのかわりに、ネオンが答える。
「話を聞かない人たち」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます