第22話 タダシの威圧

「えーっと。どちら様ですか?」

 君は忘れていた。相手が、五尺公園の近くで道を聞いた人物であることに。

 まったく状況が分からない。玄関で立ち尽くすユウに、男が話す。

「俺は政府の人間だ。一緒に来てもらおう」

 やはりユウには分からない。

 知り合いにも関係者はいないはずだし、指図さしずされるいわれのない人だ。

「待ってください!」

「君は?」

「スズです。ユウと、同じクラスの」

「知っているよ。名前を伝えた方がいいか。俺は、タダシ。下がっていなさい」

 男は聞く耳を持たない。

 そして、君は“下がっていなさい”と言われたのは自分だと認識した。

 彼がスズの知り合いだと思い、玄関から離れて待つことにする。

 それが、間違いだとも知らずに。

「えっ?」


 玄関から出た二人が話す。

「君の能力では、俺には勝てない」

「勝ち負けの問題じゃないですよ。やめてください」

「俺は格闘技をおさめている。手荒なことはさせないでくれ」

 力があろうがなかろうが、いまのスズには手出しできない。

 金属を持っていないからだ。

「あれ? その人、誰?」

 そこへ、ネオンがやってきた。

「政府の過激派かげきはよ。ユウを連れて行こうとしてる」

「ちょっと。それを知ってるってことは――」

「私は過激派かげきはじゃない。今は力を貸して!」

 かぶせ気味で正体を明かした少女に、もう一人の少女が答える。

「ひとつ貸しね」

 共同戦線が始まったところで、ダイマもやってくる。

「何これ。どういう状況だよ」

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