第19話 クラスの絆

 担任の先生に呼び出される、ユウとダイマ。

 誓って、何もしてない。

「なんだと思う?」

「成績が悪いんじゃね? おれたち」

「失礼します」

 職員室へ入った二人が聞かされたのは、別の問題だった。

「苦情が来ているのよ。さわがしいって」

「え?」

「ほかのクラスからだから、わたくしの力ではどうしようもなくてね」

「力って、まさか」

「なんだよ、ユウ」

 君の考えとは違う。ここでの力とは、特殊能力のことではない。

「いや。なんでもない」

 原因はネオン。と、スズだろう。わいわいとしている事より、嫉妬のほうが大きいかもしれない。

 理不尽りふじんだがどうしようもない。

 二人で謝らざるを得ない。

「すみませんでした!」


 放課後。

 二人は、別の先生からプールの清掃を命じられた。

 足をひきずるようにして現場へ向かう。

「絶対におかしいだろ」

 文句を言いつつブラシを動かすも、一向に終わる気配がない。

 水着の準備をしていないため、制服のまま裸足はだしでプールの底にいる。

 そんな二人を見かねて、スズとネオンがやってきた。

「仕方ないから手伝う」

「おかしいよね」

 そして、やってきたのは二人だけではなかった。

 同じクラスの生徒たちが、次々と水の入っていないプールに集まる。

「みんなでやったほうが早い」

「てきぱきと、急いでやりましょう」

 ミツルの言葉に、ノリエが同意した。

 スズの人徳と少女たちへの下心が合わさって、クラス全員で手伝うことになったようだ。

「いいのか? これで」

「いいんじゃね」

 みんな手伝ってくれるものの、やはりさわがしい。

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