第10話 騒がしい人たち
鐘の音がひびき、昼休みになる学校。
今回もひとりになろうとしたユウが、スズに呼び止められる。
「ダメよ。今日は」
「え?」
「だって、学年全員で集まって食べる日だから」
「なんだ、そりゃ」
行事のひとつとして、ほかのクラスとの交流を
「一緒に行こっ」
いつも明るく、
ネオンに対して、君は無言を返す。そのまま別の人物を見つめつづけた。
「……」
「仕方ないな。一緒に行ってやる」
助けを求められたことを察知し、少年が言った。さすがは親友だ。
しぶしぶ四人での行動を納得した君は、移動することになった。
食堂には、すでに大勢の生徒たちが集まっている。
君の学年でほとんど貸し切り状態だ。クラスの垣根を超え、
だが。
「はーい。アタシはユウの隣ぃ」
「私は向かいで」
「おれはスズちゃんの隣ー」
しかし、ダイマの大げさな行動に反応はない。
周りにいつもの顔ぶれが座ったため、君はいつもと同じような食事をせざるを得ない。
「結構おいしいよね。ここの食事」
「ゆっくり、よく噛んで食べましょう」
何も話さなくても会話がはずむ。いや、もはや
「なにあれ。高貴な人?」
「絶対そうだって」
どうやら、ユウは偉い人だと誤解されかけているようだ。
「よく見たら気品が違う」
「そう言われてみれば」
「違います。普通の生徒です」
「違わないよ。ユウはすごいんだからね」
誤解を解こうとするスズと、あえて誤解させようとするネオン。
いつのまにか、辺りには人だかりができていた。
「落ち着いて食べさせてくれ」
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