第4話

「さあ、引きたまえ春彦君。」

「君が得ることになるスキルが良いものであることを祈っているよ。」


ガチャの前でゴクリと春彦は喉を鳴らした。


「(目の前に立ってみると意外と大きいな、これだと良いスキルから悪いスキルまで何でもありそうだな。)」


「(私にとっての良いスキルとは何だろうか、やはり会話に関係するスキルか? 異世界で戦闘が起こる可能性を考えると肉体強化系もありだな。)」


「(まあ、今私が考えたところでどうしようもないな。結局のところ運が必要だからな。)」


春彦が思考の渦へと旅立っていると、


「ねえ、早く引いてよぉ~まちくたびれたよぉ」


「早く引かないとこのまま向こうの世界へ行ってもらうからな?」


「わ、わかった!今引くから待ってくれ!」


春彦は急いでガチャを回し始めた。


ポーン!ポーン!ポーン!コロコロコロコロ


愉快な音を立てて足元へと転がってきた。


「まず一つ目だな(パカッ)」


開けた瞬間カプセルの中から出てきた光の玉が春彦の体の中へと吸い込まれていった。


「これは、鑑定魔法だね。簡単に説明すると魔法を発動すると物や人のことが詳しく知れる魔法だね。」


「(異世界ではわからないことだらけだ、情報は知っておくだけでも力になるだろう。これはいい魔法だな。)」


「鑑定魔法が手に入ったなら自分で調べられるはずだからちゃっちゃと終わらせようか。」


神に促されたため2個目と3個目を開ける。


「これは、作成のスキルと隠密だね。スキルの詳細については鑑定があるから向こうで確認しなよ。」


「じゃ、もう僕はやること終わったから君を向こうの世界へ送っちゃうよ。」


いきなりすぎる神様の行動に春彦が動けずにいる。


「じゃあね...」


春彦は意識が薄れていく中で何となくだが嫌な予感がするのを感じていた。


―――――――神様side


最後の転移者だったため扱いが少し雑になってしまったのは仕方ないだろう、


話を聞いてくれずに騒ぎ続ける者、知らない場所へ連れてこられたからなのか泣き続ける者etc....


僕は疲れたんだよ!!!


いきなり何十人も召喚するなんてはた迷惑なことはやめて欲しいよ。


だからなのか、最後に来た吉田春彦は騒ぐこともしなかったため僕の気が抜けてしまったのだろう。最後の最後でミスをするなんて.....


神様は先ほど起きたことを思い出していた。



「じゃあね」


最後の転移者が光に包まれ消えていったことを確認した後、神はふぅと短く息を吐いた。


「やっと全員の送り出しが終わったよ、やっと休むことが、、、ああ!」


神様は頭を抱えた


「移先の座標を固定するの忘れてた!どこに飛ばされるかわからないぞ!!」


「もう送ってしまったのは仕方ない。僕の加護でも与えてなんとか許してもらうしかないな。」


神様は頭の中で春彦に対し合掌をした。


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