第14話ネグリジェ


 あらゆる事を済ませて、後は寝るだけ。そんな感じになった。


「に・い・さ・ん?」

「へぇへ。何でがしょ?」

「抱いてください」


 あー……まこと以て……。


「謹んでごめんなさい」

「兄さんを想って自慰するにも限度はありますよ?」

「その告白は止してほしかった」


 いやまぁアリスが俺を想って自慰する分には犯罪にはならないわけだけども。そのアリスはと言えば薄手のネグリジェ姿で、性欲をそそる。普通に犯したい気分になる。ソレと分かってそんな格好をしているのだろう。スイカのように大きなパイオツ。大きさが比するお尻。腰はくびれ、出るとこは出て、引っ込むところ引っ込んでいる。完璧なる女体。その具現だった。ヴィーナスすら道を譲る肉体美。正直なところ性欲を持て余す。


「この身体は全て兄さんの物ですよ?」


 分かってはいるけどさぁ~。問題は俺らが兄妹なだけで。


「アリスは俺が好きすぎる」

「兄さんですもの。妹としては誰より心を許せる存在ですよ?」

「普通妹って兄を邪険にしない?」


 普通の兄妹なら。


「兄さんは邪険されて良いのですか?」

「絶対嫌。アリスには俺を好きでいて欲しい」

「ですから大好きです! 兄さん!」


 クチュッと音が鳴った。唾液の跳ねる音だ。アリスは自身の唾液を俺の首元に押し付けた。クチャ……クチャ……。首筋を舐められてゾクゾクする。こういう淫靡な手法を何処で覚えるのだろうか? すこしお兄ちゃんは不安です。


「兄さん……兄さんの……味ぃ……」


 クチュクチャ。唾液が俺を汚す。俺の身体を舐めるだけでも至福な御様子で。ソレで済むならそれ以上はないけども。なんだかなぁ。どこで育て方を間違ったのか。いや、あるいは俺もアリス並みにアリスを求めているから、こんな事に為っているのかもしれない。


「兄さん……っ」


 アリスが俺の手を取る。その手は乳房に向かった。フニュン。ボイン。手の甲がアリスの巨乳に押し付けられる。感想は…………黙秘で。ただ柔らかかったとだけ。


「手の甲を押し付けたんじゃ揉めないぞ?」

「どうせ揉んではくださいません」


 ……良くお分かりで。


「兄さん……好き……大好き……有り得ないくらい好き……。本当に私は幸福です。兄さんとこうやって同衾できるのですから」

「男女七歳を超えて」

「同衾す」


 ――其処まで分かっているなら何も言わないがな。


 ギュッとアリスが寝ている俺を抱きしめた。パイオツがプニョンと押し付けられる。俺の胸板に。それだけでも有り得ないのに、ある部位が尖っていた。


「発情しすぎだ」

「兄さんを想えばこそ」


 さいですか。


「俺の取り柄は顔だけだしな」

「兄さんより格好良い男子なんていませんよ」

「断言するね」

「実際そうですし。兄さんは格好良すぎます。おかげで私はブラコンに奔るしか選択肢が在りません。本当に兄さんは罪深い……」


 首でも吊るか?


「それで謝罪せよと?」

「抱いてくださって構わないんですよ?」


 プニョン。乳房が揺れた。柔らかで弾力のあるアリスのパイオツは嫌が応にも俺を興奮させる。俺の股間もマックスファイヤーだ。悟らせることはしないがな。


「ま、性欲は人類繁栄の礎だしな」

「ええ。幾らでも抱いてくださって構いません」

「マジで誘惑に負けそうだ」


 張りのある巨大なボインはそれだけで兵器に達しうる。


「兄さんは誠実すぎます」

「ソレが俺の良いところ」

「そうでしょうか?」

「何か不満でも?」


 俺はジト目で見つめる。プニョンとおっぱいが揺れた。この至福はアリス以外には再現出来ないだろう。少なくとも洞穴高校の生徒の中では。どう考えてもグラビアアイドルより肉体の売れ方が非常識だ。そりゃ男子も毒のある目で見るものだ。


「兄さん以外に性欲を向けられても」

「そう云うよな」


 嘆息。だがアリスらしい。実際にアリスのブラコンは危篤の重症だ。俺以外の人間に、性的欲求を発露しない。ソレが光栄か……は、また別の議論として、普通に考えて歪であることは間違いなかった。


「兄さん」


 クチュと俺の頬を舐める。


「嘘を吐いている味か?」

「どうでしょう?」


 クチャと唾液が鳴る。


「兄さん……兄さん……美味しいです……」


 手が俺の股に伸びていた。却下する俺。


「少し触るだけですから」

「いまちょっと有り得ないことになっているからダメ」


 ぶっちゃけ自立している。


「発情しているんですか?」

「言ってしまえば……な」

「光栄です!」


 キラキラ……と目を輝かせるアリスだった。ソレはそんなに嬉しいか? 性的に見てるって事だぞ? もっとも俺は人に言えないんだが。


「えへぇ。兄さんが私に欲情……」


 股間に手を伸ばすアリスを払いのける。そこは自立しているので触らせるわけにはいかない。普通にタガが外れてしまう。実際にアリスは魅力的な女の子だ。妹であることを含めても。あるいは妹であるが故に。おっぱいは大きいし、お尻は安産型だし、なのに腰はくびれているし。普通に考えてセックス一直線だ。俺に良識があって本当によかった。


「兄さん? 大好きです……」

「ソレは聞いた」

「何度でも言いたいんです」

「可愛い!」


 俺はギュッとアリスを抱きしめた。はぁ……本当にうちの妹は超絶可愛い。俺を慕ってくれるその様も……愛しいほどに純情な慕情も。


「兄さんも……可愛いと思ってくれるんですね……」

「何時も言ってるでしょ?」

「たまに突き放した言動を取りなさるので」

「そうかもね。けどアリスは可愛いよ。理性のタガが外れそうなほど。コレでも俺はシスコンだよ。抱きはしないけど、アリスは世界で一番可愛いと思ってる」

「改めて言われると照れますね」


 実は俺も。


「だから股間に手を伸ばさないで?」

「兄さんの自立したおにんにんを鎮めて差し上げたいです」

「自分で処理するので構いません」


 自慰行為も青春の一角。まして高校生ともなれば、あらゆる意味で青春が事象の邪魔をする。ソレを乗り越えてこそ漢ではなかろうか?

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