28.僧侶は決断する

 城内の噂を事実だと認めた騎士団長様のお言葉に、私は眩暈を覚えます。本当に……何をしているのでしょうかこの方は。私は自身の中のどす黒い感情を表に出さない様に抑えます。今すぐこの二人をボコボコに……。品が無いですね。この二人にお仕置きしたい衝動を抑えて、理性的に話すことに努めます。


「……事実だと認めるのですね。みっともなく見苦しい言い訳をするかと思っておりましたが……」


 少し言葉にトゲが出てしまいましたが、それくらいは許されるでしょう。今だってすぐに出しそうになる手を抑えているのですから。しかし、自身については驚くくらいあっさりと白状しましたのに、何故勇者様についてだけは頑なに拒むのでしょうか?

 私の言葉に、団長様も王女様も俯いていらっしゃいますが、さっさと喋って欲しいものです。仕方がないので、まずはその話を進めましょうか。


「……その事が事実だと知っているのは、他にはどなたが? 誰かに喋りましたか?」


「勇者殿のみです……勇者殿以外は貴方しか知りません」


 その事実に、私は心臓に氷を入れられたのかと錯覚いたしました。急激に全身の血が冷えていくような感覚に、思わず身震いしてしまいます。

 勇者様……貴方が抱えていたのはこのことだったのですか? その時の勇者様のお気持ちを考えると、その悲しみはいかばかりか……。お辛かったでしょうに……様子がおかしい事には気づいていたのに……心を砕けず申し訳ありません……。


 私は心の中で勇者様に謝罪をし、その場で泣きたい気持ちを堪えていると、騎士団長が口を開きます。


「……僧侶殿、我々の事は周囲に喋っても、断罪いただいても一向に構いません……ですが、勇者殿の事は……」


「……何を仰っているのですか?」


 ふざけたことを仰る騎士団長様に、私は侮蔑の視線を向けます。私が勇者様の事を口外するとでも思っているのでしょうか? 前評判ではこの方が勇者に選ばれるのは確実とか言われてましたが……実際には選ばれないのも納得できる話です。

 私は心を落ち着かせるために、身に着けている腕輪に指を這わせ勇者様に思いを馳せます。あの日、勇者様と最後に別れた日に魔王城に残された私の腕輪……あれは勇者様から初めていただいた物なのですが、あの腕輪はどうなったのでしょうか。


 少し心を落ち着けた私は、侮蔑の目を向けた騎士団長様に微笑みかけます。


「団長様……もしかしてですが、私が勇者様をこの国に連れ戻そうとしていると考えているとか……まさかそう言う思い違いをしているわけではございませんよね?」


 私の笑顔を見た騎士団長様と王女様は、怯えたように少しだけ後ずさりをされます。そのように怯えられるいわれは無いのですが……私は距離を詰めるように一歩だけ彼等に近づきます。騎士団長は一筋の汗を頬から垂らしており、怯えるように王女様を後ろに庇います。


「違う……のか……? じゃあ、何故勇者について……僕等に聞きたがるんだ?」


 何故……何故ですか。そんなわかりきったことを聞いてくるとは思ってもおりませんでした。まぁ、私はもともとが協会に属する聖職者ですから、そう思われるのも無理ないかもしれませんが……それでも勇者様をこの国に戻そうとするなんて……。貴方達の状況を知ってそんなことをすると思われるのはいささか心外です。

 私は理解力の無い子供にもわかるように、この二人に私の想いを告げることとしました。私が考えているのは非常に単純なものなのです。


「簡単な話です。私が勇者様にまた会いたいだけです。」


 本当に、それだけです。私の言葉に、騎士団長様と王女様は意外そうに眼を見開いています。そんなに意外な話なのでしょうか? 私としてはそれ以外にないと思うのですが。

 あぁ、もしかしたら聖職者として国のために、国の民の為に勇者様にお戻りいただくとか……そう言う事を考えていると思われていたのですか。そんな事、考えるわけがないのです。私の最優先事項は今や勇者様なのですから。


 私にしてみれば、勇者様が帰れない事情ができた段階でこの国に未練はありません。勇者様が別な国に行かれるのであれば、私もその国に一緒に行くだけなのです。


 だから私は、素直な気持ちをお二人に聞かせてあげます。


「勇者様とまたお喋りがしたい。一緒にお食事がしたい。一緒にお酒を飲んで、少し酔っぱらった私を介抱していただきたい。そして……たまに一緒に二人でお出かけがしたい。私が望むのは、ただそれだけです。」


 もしもこれから先に勇者様と再会した時に、勇者様の隣に私以外の誰かが居たとして……私が隣に居なくても……それくらいなら許してもらえないでしょうか。ただの友人として、そうやって一緒に過ごすくらいは何もおかしなことではないでしょう? 勇者様も、許してくださったら嬉しいのです。


「理解できませんか? 私は貴方達とは違って地位やら名誉やらなんてものは要りません。ただ、勇者様と一緒に時を過ごせればそれでよかったのです。それなのに……」


 私は王女様へと視線を移しました。すると、王女様と目が合いましたので、一度だけ王女様へと笑いかけます。彼女は私の笑顔を見て、悲痛な面持ちへと変わりました。


 勇者様に告白して……そして断られた時、勇者様が側室をお持ちになれる立場になるか分かりませんでしたので、私は勇者様の傍に居られるなら愛人でも何でも構いませんでした。ただ傍に居られればいいと。

 それは、貴方が勇者様を支えてくれると思っていたから……しかし、とんだ見込み違いでした。私の見る目も無かったですが……王女様とは全く交流も無かったので仕方なかったかもしれません。


 今すぐにこの王女様をどうにかしてしまいたい衝動にかられますが、もしもそれが勇者様の意に反することなのであれば……私がそれをするわけにはまいりません。そんな事をして勇者様に嫌われてしまったらと思うと……想像するだけで恐ろしいです。


「貴方が勇者に選ばれなかったのはきっと、いざという時に覚悟を決める胆力が無いからですわね……。あちこちに良い顔をして、何も捨てることなく丸く収めようとする。全てを助けようとする欲張りとも違う。自身も大切な人も傷付くことなく、玉虫色の回答をしてお茶を濁す。」


 騎士団長様は反論できないのか、何か心当たりがおありなのか……ただただ俯いて黙っているだけです。

 

「理解していただけましたか? 私は勇者様が生きていると信じています。だから僅かな手がかりも欲しいのです。……もしも何か知っているなら包み隠さず教えてくださいませんか?」


 私の懇願にも騎士団長様は黙ったままなのですが、思わぬところから声が上がりました。その声はいつものどこか甘えたような声色と違い、どこか力強さを感じさせる言葉でした。


「騎士団長……王族として命じます。僧侶様に全てをお話ししてください」


 騎士団長様は、その命令を出した王女様の顔を悲痛な顔で見ますが、王女様は騎士団長様の顔は見ずに私を真っ直ぐに見てきます。私はその視線を真正面から受けます。その目は……先ほどまでの甘えたものとは違い、何か覚悟を決めたように見えるのは気のせいでしょうか?


「姫様……それは……できま……」


「できるできないの話ではありません。私は王族の端くれとして命じているのです……できないというのであれば……王族に逆らったとして貴方を処罰せねばなりません」


 王女様の有無を言わせぬ言葉に騎士団長様も言葉を詰まらせます。王女様の姿に騎士団長は諦めたような表情で、少しだけ俯いてぽつりと呟きました。


「……承知しました」


 騎士団長様はそのまま、私に対して口を開きます。そして、何か言葉を発しようとした瞬間……騎士団長様の顔色が真っ青になったかと思うと、その口からは呼吸音だけしか聞こえませんでした。私が眉を顰めていると、騎士団長様の顔は脂汗でびっしりとなっており、呼吸もぜえぜえと荒いものになっています。指先も震えており、

 ……これは……なんでしょうか? 騎士団長様の身体からは何も異常があるようには見受けられません。なのに、騎士団長様は苦しそうに、言葉を無理矢理に絞り出そうとしているのが分かります。


「……勇者殿が……私もどうして……そうなったのかは……わかりませんが……彼が……生きているのは……確かです……最後に会話……したのは……私達ですから……」


 息も絶え絶えに、途切れ途切れの言葉を騎士団長様は言葉を紡ぎますが、私は初めてはっきりと耳にした勇者様が生きているという情報に、久方ぶりに胸の奥に温かい気持ちが沸き上がるのを自覚いたしました。

 あぁ……勇者様……やはり生きてらっしゃったのですね……良かった……本当に良かったです……。私達に黙っていなくなったのは多少腹立たしいですが良いのです。生きていてさえくれればまた会えるのですから。


 私が内心で飛び跳ねたいほどの喜びを抑え、騎士団長様の次の言葉を待ちますが、苦しいのか中々次の言葉が出てきません。まるで焦らされているような気分になり少し不快になりますが、私は次の言葉を大人しく待ちます。


「……勇者殿は……今……ま……」


 ほんの数分だけの沈黙でしたが、私にはまるで長時間待たされていたような錯覚に陥っていました。そして、待っていた騎士団長様の次の言葉が出た瞬間に……それは起こりました。


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァッ!!」


 唐突に王女様が叫び声を上げ、私も騎士団長様も王女様の方に視線を向けると、王女様はその場に崩れ落ちるように倒れたのです。騎士団長が駆け寄り王女様に触れると、触れた瞬間にまた絹を裂くような叫び声を上げてその身を激しく捩ります。

 騎士団長が狼狽えていると、中途半端に伸ばしている騎士団長の手を王女様は払いのけて再び立ち上がります。その額には玉の汗がびっしりと浮かんでおり、身体の露出している箇所はそこかしこが内側から赤く腫れています。あれが痛みを引き起こしているのでしょうか? 

 こんなことができるのは呪詛魔法くらいですが……二人には呪詛魔法がかかっているような様子は一切見受けられません……いったい誰がこんな高度な事を……。


「何をしているのですか、全てをお話しなさい。私にかまっている暇などないでしょう」


「しかし、姫様……」


「今のは少し驚いただけです……。問題ありません」


 立ち上がった王女様は、わずかに震えながら目には涙を浮かべていましたが、口元をきつく結び騎士団長様へと自分から離れ話を続けるよう促します。騎士団長様はそのまま躊躇いがちに私へと向き直ると、顔面を蒼白にしながら、私に事のあらましを説明してくださいます。

 その間、王女様の身体は絶え間なく痛みが襲っているようでしたが、今度は叫び声を上げることはありません。歯を食いしばり、手はドレスの端を両の手で握りながら痛みに耐えているようでした。全身から汗が噴き出しており、王女様が着ている衣服を濡らしています。


 そのまま、騎士団長様は自身の知る全てを私に教えてくださいました。自分達が勇者様を裏切ったこと、勇者様が国に帰ることなくどこかに逃亡することを選んだこと……そして、最後に通信をした時には何故か魔王と一緒に旅立っていったことを……。

 具体的にどこかに行ったという情報はありませんでしたが、最後に通信したのはどこかの丘の上であり、おそらくは国とは逆方向に行ったという事でしたので、手掛かりとしては十分でしょう。

 裏切った部分では殺意を覚えましたが、私は話を最後まで聞くことができました。


 ……それにしても……魔王と一緒ですか……。……魔王と一緒? ……魔王……え? 魔王?


 私の脳裏には、最後に見た魔王の姿が思い浮かびます。可愛らしい女性の魔王の姿が。可愛い女性と、勇者様が、二人旅……? 二人っきり……?!


「えええええぇぇえぇぇぇぇえぇッ?! 魔王と一緒?! だったら私こんなことしている場合じゃありません!! すぐに追いかけないと!!」


 私の叫び声に驚いた騎士団長でしたが、背後からの人の倒れた音に振り向きます。

 そこには、話を終えた途端に気絶してしまった王女様が倒れていました。騎士団長は慌てて王女様に近づくと、介抱しています。どうやら話が終わったとたんに赤い腫れも即座に無くなっていたようでした。

 しかし、今はそんなことにかまっていられる暇はございません。すぐに!! すぐに勇者様を追いかける準備をしないと!!さっさと喋ってくれれば無駄な時間をかけずに済んだのにと二人を恨む気持ちも出ますが、今はそんな時間も惜しいのです。一刻も無駄にはできません。 


「待ってください!! 僧侶殿!!」


 私が踵を返して騎士団長様と王女様に背を向けたところで、団長様の私を呼び止める声が聞こえてきました。正直、かまっている時間も惜しいのですが先ほど情報をお聞きできたこともあり、私は足を止めて応対することといたしました。本当に、ほんの少しですが。


「なんですか、騎士団長様? 私は一刻も早く準備をして勇者様を追いかけなければならないのですよ。情報を頂けたことは感謝いたします。」


「その……勇者様を追いかけるのだが……ほんの少しだけ待ってもらえないだろうか」


 言いづらそうに唐突に出た提案に、私は目が点となってしまいます。なぜ私がそんなことをしなければならないのでしょうか?


「勇者殿が居なくなった今、勇者殿の仲間でもある僧侶殿までいなくなられたら国の混乱は必至です。せめて……せめて聖女様が見つかるまでは」


「……聖女?」


「そうです、聖女様が現れたかもしれないのです。教会に保管されていた聖具が消えたのは、おそらく聖女様が……」


 ……あぁ、そうですか。聖具が無くなったことは、流石にもうバレてますよね。正直、判明するのはもうちょっと後かと思ってたのですが、意外にも点検はきちんとなされていたようです。聖剣は無いから点検はもう少しおざなりかと思っていたのですが……ちゃんと仕事をしていることに私は少しだけ驚きました。


「……聖女ですか……ちなみに、聖女が見つかったらどうするのですか?」


「……陛下達は魔王殿への対抗手段として、国民を安心させるために大々的に発表するという話です。聖女様は勇者様と対を成す存在ですので、それにより……」


「あ、そこまで聞ければもういいです。えぇ、良くわかりました」


 予想通りですが、あまり面白くないことになりそうですわね。やっぱり、早々にこの国からは出た方がよさそうです。……何せ、私がその聖女なのですから。

 それを教えると面倒なことになりそうですのであえて言いませんが……私が聖女に選ばれたのは勇者様が聖剣に選ばれるよりもずっと前……偶然訪れた聖剣の間で、台座に触れるとその台座が光り……私は聖具に選ばれてしまいました。


 当時は勇者様が選ばれる前の時であり、私は聖女として選ばれたことを周囲に秘密にしておりました。何故なら……聖女は勇者と結ばれることが多く、その当時の勇者としての最有力候補が騎士団長様だったのです。当時から私はどこか騎士団長様を好きになれず……また、将来的に結婚自体する気が起きなかったために、我儘かもしれませんが黙っていたのです。

 幸い、その時は私一人だったので、聖具には事情があって選ばれたくないのですが……と触れた状態で願うと、私を選んだことは無かったことにしてくれたのか光は消え……以降は光ることは無くなりました。


 それからほどなくして、勇者に選ばれたのは騎士団長様ではありませんでした。選ばれたのは誰も知らない、一介の兵士の方でした。私もまったく面識のない、普通の方……。なぜ選ばれたのかわからない方でした。

 ただ、その選ばれた普通の方はどんな人なんだろうと私は興味を持ちました。なので、私は教会の人員から一人、勇者様に同行するという人員を募った際に立候補をしたのです。

 そして、立候補する人がほとんどいなかったこともあり、私は勇者様に同行いたしました。


 ……騎士団長様が勇者候補と言われてた時はあんなに殺到していた同行者の選定が、勇者様に決まったとたんにほとんどいなくなった時は教会の在り方に疑問を感じましたが、その辺りは皆さんの事情もあり仕方ないことです。私としてはありがたい話でしたが。


 そして勇者様と同行して……私は後悔いたしました。私の人生で、それが一番の後悔です。


 私は何故、事前に聖女だと名乗り出なかったのだろうかと。名乗り出た上で同行していれば、勇者様と結ばれていたのは私だったというのにと……激しく後悔いたしました。しかし、今更聖女とは名乗ることもできず……告白しても玉砕し……今に至ります。


 勇者様を追いかけるのに役に立つかと、ダメもとで聖具に触れてみましたが……まさかまた選んでくれて、私が無くした腕輪になって身に着けれるようになるとは思ってもいませんでしたが、やはり言わなくて正解でしたわね……。

 そんな風に私が過去の苦い記憶に思いを馳せていると、騎士団長様が背後で動いた気配がいたしました。


「……改めて勝負を申し込みます、僧侶殿。私が勝ったらこの国に留まっていただきます」


 私は首だけを動かして騎士団長様の姿を視界へと入れると、立つのもやっとという形で木剣を構えております。そんな状態で私に勝てるわけもないでしょうに……いったいこの人は何のために戦っているのでしょうか?

 聖女としての力を一切使っていない私に勝てないと言うのに…正確にはまだ使えないのですが…。安全な訓練しかしてないこの方は、端的に言うと修行不足ですね。


 まあいいです。私の道を阻むのであれば、また倒させていただこうかと思った時……意外な声が聞こえてきました。


「その必要は……ありません……」


 気絶から目が覚めた王女様が、フラフラとした足取りで立ち上がり騎士団長様の構えていた木剣をその手で押さえます。騎士団長様は抑えられた木剣を大人しく下ろし、王女様へと目線を移しています。

 しかし、王女様はそんな騎士団長様を見ることなく、私だけを見ています。


「僧侶様……行ってください。勇者様の所へ。無事にお会いできるよう祈っております」


「……よろしいのですか?」


「……貴方を止めることは私達にはできません。こんなことで罪滅ぼしになるとは思っておりませんが、後の事はお任せください」


「……よろしくお願いいたします」


 私はあえて御礼の言葉は言わずに、そのままその場から立ち去ります。二人の事は許せませんが、再び勇者様と出会えるのであれば……私にはもうどうでもいい人達です。今私は優先するべきことが他にあります。


 ……それでも、王女様の方はほんの少しだけ、勇者様が許すかどうかは別ですが、私だけは……爪の先ほどであれば許しても良いかもと言う気持ちになっています。行動の是非はともかく、愛する相手へ行動すると言う点だけは、私も王女様も似ているのかもしれませんから。

 そのまま、私はその場を後にします。


 ……私は常に、一歩出遅れている女でした。


 騎士団長様が勇者になると聞いて嫌悪感を抱いた私は聖女であることを黙り、選ばれた勇者様と結ばれる機会を逃しました。

 旅について行ってもまごまごと行動を起こせず、告白できたのは旅も終盤に差し掛かってから……。

 今も、勇者様を追いかけられずに国に戻り、慌てて勇者様を追いかけようとしている始末です。


 もしかしたらまた、この選択を後悔する時があるかもしれません。でも、今はこれが正しい事であると私は信じています。

 たとえ今は遅れていても、私は行動するだけです。また勇者様に会うために。


 ここにいるのは、勇者様の仲間の僧侶でも、勇者様と対になる聖女でもありません。


 ディアノ様を慕うただ一人の女……ただのマアリムとして、私は貴方様を追うことにいたしました。


「ディアノ様……すぐに追いつきますからね」

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